2026年9月4日金曜日

夜業と夜勤

 ホトトギス新歳時記で夜業を引いてみると「ビルや工場で、夜まで明るく灯をともして仕事をするのを夜業という。とくに秋の夜にその趣がある」とある。虚子編新歳時記にも「工場で夜まで仕事をする場合を夜業をするという」とある。ホトトギス新歳時記の解説にはビルが付け加えられているのが時代の変遷を物語っているが、このために夜業という季題が変質してしまっているように思われる。その変質を強調するために、最後の「とくに」以下の文章を追加したのだろう。例句に挙げている二句とも、零細な機織り工場と個人の手仕事であり、企業や官庁の夜業の句は無い。

これに対して角川の歳時記では俳句第歳時記も合本歳時記も、ともに夜業をよなべの傍題に置いている。夜の仕事は本来的にはよなべなのだ。誰も夜中まで仕事をしたくない。夜は一日の労働の疲れを癒す時である。それを強いて働かなければならないのは、生活が苦しいか、農業経営のためか、非常時の緊急出動のような場合だ。

先日の本部例会で夜業という兼題が出された。しかし大半が残業を含めた夜勤の句だった。夜勤は勤務体制の都合で日勤と夜勤とにシフトが分かれ、夜間に働く勤務形態である。病院の看護師の勤務を考えればわかりやすい。別に生活が苦しいわけではなく、夜間の決められた時間から時間まで働くのである。当然のことであるが夜勤に季節感はない。季節感が無ければ季題・季語ではない。

大阪の市役所や府庁、OBPにある高層ビル群では夜遅くまで仕事をしているが、これは四季を通じて年中有ることで、無いのは正月三が日くらいのもの。このような職場での夜間の仕事は残業で有り、時間外手当も付く。春の残業と秋の残業に季節感の違いがあるかどうか。

虚子の頃とは、仕事の環境が違うのだ。虚子の頃は工場はコウジョウではなくコウバだっただろう。高層ビルは無なく、二階建ての商家だったかも。それを、ホトトギス新歳時記を初めて編集する段階で、夜業という季題を残すために無理をした、それが混乱を生む原因ではないだろうか。

秋の季題を使うことによって季節感が出せる。秋の夜勤の句を詠んでみよう。

2026年8月20日木曜日

道場破り

 道場破りを広辞苑で引いてみると「武芸道場に押しかけて他流試合をし、相手を打ち負かすこと。また、その人」とあります。本年5月の姫路の白鷺句会に、はるばる南紀の田辺と白浜から3人の客人があり、会員の皆さんと一緒に吟行したり句会をしたりと一日楽しく過ごされました。この時は至って友好的な訪問でした。

その後、7月には阪神句会の若手のNさんが、単身上記の白鷺句会に乗り込み、並み居る剛腕の剣士を打ち負かして巻頭を得られました。これが九年母会の歴史が始まって以来最初の道場破りでした。

本日、明石市のアスピア明石で開催された朝霧句会の8月例会にも道場破りが二人現れました。一人は阪神句会や青葉句会で大活躍しているMさん。もう一人は笹子句会の達人Sさん。いずれも若手の錚々たる剣客です。押しかけられた朝霧句会の面々も簡単に引き下がることは出来ませんので必死に応戦し、巻頭を保持して道場破りを撃退しました。それでもMさんは3句入選で内特選1句、Sさんは4句入選という赫々たる戦果を得て去りました。

まさに私が望んでいた「誰でも行ける俳句の道場」という新快速沿線道場の理想が実践されだしたのです。数人でごそごそ、お菓子を食べてお茶を飲んで句会をしていて上達するのは不可能です。上手な方の胸を借りて、稽古を付けてもらって強くなる。お相撲と一緒です。九年母会には全国的な俳句大会で素晴らしい成績を上げた方がたくさんおられます。そんな方、憧れの方に稽古を付けて貰う。素晴らしい環境ではありませんか。憧れの方に自分の句を1句でも2句でも採って貰えたら、それこそ天にも昇る喜びです。その喜びが次への励みになるのです。

読者の皆さんも、九年母誌の句会案内の欄をお読みいただき、是非「我こそは」と、道場破りに出かけてみましょう。但し、道場荒らしにならないよう、会費はお支払い下さい。


2026年7月27日月曜日

俳句の道場

 笹子句会を手始めとして、朝霧句会、白鷺句会、青葉句会と四つの句会を俳句の道場として開設しました。笹子句会、白鷺句会は順調な経過をたどっていますが、朝霧句会と青葉句会は、今しばらく体制固めが必要な状況です。

5月には和歌山県の田辺市と白浜町から3名の方が白鷺句会の門を敲かれ、会員と共に吟行と句会を楽しまれました。7月には、阪神支部の方が同じく白鷺句会の句会に参加されました。その結果は、初参加でいきなり巻頭。まさに道場の醍醐味です。

古くからの会員の中にはショックを受けられた方も有るでしょう。それこそ私が意図した道場という句会の成果です。道場の句会には誰でも参加できます。九年母誌の句会案内で兼題を調べて、これならと思われた方は、是非参加してみてください。挑戦しなければ成長は有り得ません。

2026年6月22日月曜日

梅雨滝吟行

 6月21日日曜日、布引ハーブ園に吟行すべくJR新神戸駅近くのロープウェイ乗り場に並んでいた九年母本部吟行の一隊は、思いも掛けぬ情報に耳を疑った。「強風のために、本日のロープウェイは午後3時頃まで運休します」と。今まで何度もハーブ園を訪れているが、強風のために運休になった事は記憶にない。

やむなく園内の会議室をキャンセル、中央区民センターの服飾室が空いているという情報を得て利用を申し込んだ。さてどこへ吟行するか。参加者は19名。ふと思いついたのが、新神戸駅から直線距離で250mの所にある布引の滝だった。日本三大神滝の一つで、伊勢物語にも登場し、藤原俊成など数々の歌人が訪れ、有名な和歌を数多く詠んでいる。私にとってこの地域は、かつて野鳥の会の探鳥コースとして案内を担当していたところであり、土地勘はある。同行者のほとんどが80歳前後であり、急な山道を登れるかどうか迷ったが、行ける所まで行く事にした。

山道を登って行くと先ず、布引の滝の内の雌滝が姿を現した。高さ約19m、昨夜来の大雨により轟轟と音を立てて落下、いつもの優しさが嘘のようだった。更に上ると夫婦滝や鼓ケ滝が見えて来た。滝の激流の上には飛沫の虹が架かっていた。更に急坂を上って行くと目的の雄滝が壮大な姿を現した。高さ約43m。こんな水量の雄滝は見たことがない。轟音どころか、ジェット機が飛び立つ時の爆音である。参加者は、その迫力に圧倒されるばかりだった。

強風のお陰でめったに見られないような光景を目にすることが出来た。怪我の功名と申すべきか。その後の句会では滝に関する数々の名句が詠まれたのは申すまでもない。思い出に残る充実した句会だった。                  

2026年5月28日木曜日

経過報告(その後)

 26日で白内障の手術を受けてから2週間が経過しました。19日にシャワーが許可になり、26日にはビールが解禁になり、と順調に回復しておりますのでご放念下さい。眼帯の代わりのゴーグルを掛け、4種類の点眼薬を決められた時刻に点眼しておりますので、29日の検診の結果が楽しみです。少し充血が残って居ますが、日にち薬かと思っています。

29日は大阪俳人クラブの総会が、30日は関西ホトトギス同人会の会議が、31日には伝統俳句協会関西支部の総会と大会があります。体力的なことを考慮して、31日の大会にだけ参加しようと思っています。会場は奈良の法隆寺の近くの「いかるがホール」です。

翌6月1日(月)は笹子句会の創設5周年の記念事業が加古川で開かれます。もう5年になるのですね。楽しみにしていいます。

2026年5月15日金曜日

経過報告

 本部例会などでお知らせしておりました通り、5月12日(水)に自宅近くの眼科クリニックで、右眼の白内障の手術を受けました。手術は順調に終了し、薬局で処方薬を頂いて帰宅。13・14・15日と経過観察の検査を受け、順調に回復しているとのことです。今日ようやくパソコンに向かう許可が出ましたので、ブログを書いています。眩しくて長時間は無理ですので、今日は経過報告だけにさせて頂きます。ご心配をいただき有難うございました。

2026年5月3日日曜日

快挙の報せ

 5月1日、俳句雑誌「俳句四季」の上野編集長から電話があり、長谷川美幸さんが第26回俳句四季全国俳句大会で優秀賞を受賞されたとの連絡を頂きました。全国から寄せられた応募句の総数は3164句。内、最終選考に残った句は20句。その中の次の句が受賞対象となりました。

   被災地へ戻る決意や卒業す   長谷川美幸

2021年の田中順子さん、2023年の稲谷有記さんに続く快挙を、九年母会を上げて喜びたいと思います。片岡副主宰と岩水ひとみさんが受賞された伝統俳句協会の花鳥諷詠賞も含め、俳句界を代表する全国的な賞を、5年間(2022年は該当者なし)で5名の方が受賞されたことは、九年母会の誇りでもあり、私達の大きな自信につながることだと思います。

7月7日の七夕の日に、東京で表彰式があります。大きな会場で受賞の弁を述べないといけませんが、良い経験になり今後のステップアップに繋がると思います。

   届きたる快挙の報や新茶汲む   伸一路