季題の選択、つまり一句を詠む時に自分の思いを表現するためにどんな季題を使うかという選択は、俳句の修行の中でも、かなり年季を要することです。なぜなら、季題を研究しその季題の内蔵する本意(味わい・おもむき)を知らなければならないからです。
毎月一つの句会にだけ参加し、兼題を二つ勉強するとしても、一年間で24個しか学習できません。出来るだけたくさんの句会に参加し季題を学ぶことで、季題の勉強が広がります。自分で兼題を決めて句作し、添削を受けるという方法も有ります。沢山の季題に接することが、季題の学習の秘訣です。
今回は、選んだ季題が適切かどうかを、例句によって検証してみましょう。
降りしきる雨の重さよ若楓
この句では「重さ」と「若楓」とが合うかどうかが問題です。「若楓」とは軽く華やかなイメージが有りますが、そこへ「重い雨」を降らせるのは如何でしょう。いわゆるマイナスの事象とプラスの季題を組み合わせることになるのです。
逝きし人の手馴れの急須新茶汲む
「逝きし人」とは亡くなった人。悲しさ、淋しさという思いが読者にとどきます。そこへ「新茶汲む」という瑞々しい季題を組み合わせたらどうなるでしょう。この句もマイナスの事象とプラスの季題の組み合わせといえます。
降りしきる雨の軽さよ若楓
逝きし人の手馴れの急須古茶を汲む
プラス同士、マイナス同士の組み合わせに替えてみました。
句の道を学ぶ決意や新茶汲む 伸一路
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