2014年2月9日日曜日

久方の

嬉しいことがありました。北陸地方を代表する俳句結社あらうみ会から、俳誌「あらうみ」4月号に掲載する「諸家近詠」5句を送るよう、依頼がありました。「あらうみ」誌では、毎月、最初の頁に汀子先生の句を5句。次から3ページに亘って、他の結社に所属する著名な作家3名の句を5句ずつ、諸家近詠として掲載しておられます。これに選んでいただけたのです。有難いことです。

ただし、15日までに「俳句界」に載せる句10句を送らねばなりません。「あらうみ」の締切が20日ですので、あと5句、早急に在庫の積み増しが必要です。今日の五葉句会の結果と、11日の颯句会、13日の千鳥句会でそこそこの句がいくつできるかが勝負。厳しい仕事です。

さて、先日の句会で、こんな句がありました。

    下萌ゆるときめきし日々久方に

下萌えて、ときめいた日が久しぶりに戻って来た、という意味でしょうか。問題は「久方に」という言葉です。先日開かれた九年母本部例会でもこの言葉を使った句が出され、入選5句の一つに採られた方がありました。このままでもよさそうですが、全くの誤用です。

久方の、という言葉は、空や天、月や日など、天体に関するものに掛かる枕詞です。有名な百人一首の歌がありますね。

    久方の光のどけき春の日に静心なく花の散るらん  紀友則

「久方の光のどけき」は、「久方の日の光のどけき」の「日」が省略されたもので、「久方の」は「日」に掛かる枕詞として使われています。

一方、掲題の句の「久方に」は、「久し振りに」の意味で使われていますが、「久方に」にこのような使い方は無く、誤用であることは、上記の和歌からも明白です。この意味で使うなら「久方振りに」か「久々に」でしょう。

     下萌ゆるときめきし日々久々に

これが正しい使い方。間違いやすい表現ですので注意が必要です。

0 件のコメント:

コメントを投稿