2014年2月12日水曜日

季語+ごとく

征一様から「冬野」での特選句を送り頂きましたので、掲載させて頂きます。

    片脚はふる里あたり時雨虹     征一        望郷の念

    石蕗は黄を天紺青を極めたる    同      黄と紺青のコントラストの美しさ

    竹林を浄め明るき嵯峨時雨     同      嵯峨野の時雨の明るさ

いずれも色彩を詠んで、美しい句ばかりです。特に三句目の嵯峨野の竹林に降る時雨の美しさは格別です。見事な句をご披露頂き、有難うございました。

さて、ある句会でこんな句が出されました。

    凍雲のごとくに部屋を動かざる

この句のように、凍雲という季語を比喩に使った場合は、その季語は季題としては働きません。季題の無い、無季の句になってしまうのです。譬えて言うならば凍雲のようなもの、では凍雲は季題になっていないことが分かると思います。この様に、季語に「ごとく」をつけると、季題にならず無季になるのです。逆に、「○○のごとき凍雲」とすれば季題として働く可能性はあります。

よく似た問題で、絵画や絵手紙に書かれた季語が季題として働くかどうか、という事があります。

    遺されし物の一つに桜の絵

    描かれし見事な茄子や絵手紙に

桜の絵や茄子の絵手紙は年中見られますので、この場合の、桜も茄子も季題にはならず、無季の句になります。

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