先日、ある方から俳句の勉強にどんな本を読んだら良いか、とのお尋ねが有りました。いろんな本が有るでしょうが、私は次の2冊をお勧めしました。
高濱虚子著 「虚子俳話」 (新樹社)
稲畑汀子著 「俳句十二か月」 (NHK出版)
「虚子俳話」は虚子先生ご本人により、その教えが説かれており、まさに伝統俳句界のバイブル。「俳句十二か月」は、「虚子俳話」の教えを汀子先生が分かりやすく解説しておられるもので、花鳥諷詠や写生・存問という俳句の考え方を理解するのにぴったりです。俳句を始められて3〜5年続けられた方に適しているでしょう。
さて、六甲道勤労市民センターや葺合文化センターの俳句講座で好評を頂きました、「推敲のヒント」シリーズを、ブログ上で再開します。俳句の勉強の一助にして頂ければ幸いです。作者名・句会名や講座名は伏せておきます。
今回は、詠み過ぎ、言い過ぎに注意を要する句をみてみましょう。
1.笑む嬰の命まぶしや柿若葉
命まぶし、とまで詠んでしまうと、柿若葉という季題の出番がなくなります。この季題には、若々しい命の輝きが内蔵されているからです。感動を覚えた物をただひたすらに描くことにより、季題の働きを引き出すのが俳句の詠み方です。
例) 笑む嬰の瞳の澄みて柿若葉
2.柿若葉名札まぶしき園児かな
この句も「まぶしき」と詠んで、柿若葉という季題を殺してしまっています。どんな光景に胸がときめいたのか。その物を描いてみましょう。後は季題に任せてしまいます。
例) 園児らの胸に名札や柿若葉
3.地に溢る命の讃歌麦の秋
大げさに詠み過ぎています。麦の秋という季題には、この「地に溢る命の讃歌」という思いは既に内蔵されているのです。何を見てそう思ったのか。その物を描いて、思いを読者に伝えましょう。
例) どの畑も豊かに稔り麦の秋
旧ブログの添削欄に熱心に投稿されていました丹田〈俳号)さんが先日急逝されました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
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