2017年9月26日火曜日

露という季題

今日は野鳥句会に出席しました。席題は「露」を出しました。抽象的でむつかしい季題です。野鳥句会の皆さんは初心の頃から、見なくても詠めるように訓練されていますから、この様な季題でも難なく詠まれます。

    露けしや水子地蔵の淡き笑     みか子  巻頭句
    昨夜の星零れて結ぶ野辺の露    成子   
    露けしや人を呑みたるたる山の肌  露子

どの句も特選に頂いた句です。兼題で一ヶ月掛かって詠んで来た、宿題の句では有りません。席題として与えられた季題を、席についてから10分から20分で詠むのです。その句が今日の巻頭を飾るのですから、素晴らしい実力です。このようにして作句力を磨いて行くのです。

ところで、露という季題はどんな季題でしょうか。まずイメージされるのが、濡れる露、水滴としての露です。

    村雨の露も未だ干ぬ槙の葉に 霧立ち上る秋の夕暮   寂蓮法師

この歌が日本人の露に対する美意識を象徴しています。露は乾くもの、はかないものの象徴です。この儚さから、露に対する次のイメージ、つまり儚いという思いが引き出されてくるのです。

    露けしや無実の皇子の屋敷跡    伸一路

政治の謀略の犠牲になった皇子の命に儚さを感じ、露けしという季題でその思いを表現したのです。単に濡れる水滴では有りません。私の想いを語ってくれる言葉なのです。季題の使い方の一例になると思います。

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