2018年11月17日土曜日

小春日和と冬日和

11月に入ると、あちこちの句会で小春や冬日という兼題が出されます。「九年母」11月号の句会案内を見ましても、小春が3句会、冬日和が4句会で兼題となっています。私個人では、六甲道や葺合の俳句講座を含めて、四つの先で小春が、三つの先で冬日が兼題に出ています。席題に出したところもあります。

小春は陰暦10月のことであり、今の暦では、ほぼ11月に当たります。11月前半はまだ日中の最高気温が20度を超える日が続きます。従って、それなりに雨も降り、空気が少し潤っていますから、未だ風邪をひく人は少ない。一方冬日の方は、ホトトギス新歳時記では12月の季題とされています。12月ですから、日中の最高気温が20度を下回ります。ところによっては一桁台になります。勿論北国では氷点下の所も出て来ます。空気が冷たく乾燥が進み、風邪やインフルエンザが流行り出します。

小春の日和はぽかぽかと暖かく、空気も潤いが有って、喉を傷める程ではありませんが、
冬日の方は空気が冷たく硬く、鼻から息を吸い込むと、鼻の奥がつーんと痛くなる。そんな違いがあるように思います。空が抜けるように青く、ぽかぽかと暖かいのですが、小春日和と冬日和とでは、感覚的に捉え方が違うと云うことを理解しましょう。また、どちらの季題も、時雨や雪が止んだ束の間の穏やかな日和。好天を授かった喜びを忘れないことも大切です。束の間の幸福感です。

       玉の如き小春日和を授かりし    松本たかし

因みに、「冬うらら」という季題を用いる方が有ります。この季題は、角川の歳時記では「冬麗」という季題の傍題に有りますが、ホトトギス新歳時記にはありません。私達ホトトギスの俳人は、この季題の代り「冬日和」を使います。「麗か」という春の季題には、しっとりと潤う暖かな空気を感じますが、「冬うらら」には朗らかな明るさは有っても空気の潤いが無いからです。

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