2021年1月21日木曜日

何を言いたいのか

 先日の句会で出された句です。

       朝の日に緑ふくらむ冬菜畑

この句を詠んだ作者は、何を読者に訴えようとしたのでしょう。句を素直に読めば、冬菜畑を詠もうとしたと思われます。それでは「緑ふくらむ」は何だろう。こんな冬菜畑だったのですよ、と報告してくれている様に思いませんか。俳句は報告でしょうか。いつも私は、俳句は詩だと申し上げています。俳句は報告だ、と申し上げたことは、一度だってありません。

俳句は、作者が感動したことを、五七五の形に乗せて読者に伝えようとする文芸です。感動を伝えて初めて、俳句という詩になるのです。報告は詩ではありません。それではこの句で、作者が読者に伝えようとした感動は何なのでしょう。私は「緑がふくらんでいる」という事だと思います。ならば、ここを詠まないと俳句にはならないのです。

       朝の日にふくらむ緑冬菜畑

これでどうでしょう。鮮やかな緑が目に飛び込んで来ませんか。自分が言いたいことは何かということを先ず掴む。それから、どう詠めば、言いたいことが表現できるかを考えることです。こう読むと報告になる、説明になる、と考えながら推敲してみましょう。

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