昨日の朝日俳壇で、金沢の征一様の句が、長谷川櫂先生の入選となりました。
もつともつとやんちやに育て菖蒲の湯 征一
お孫さんでしょうか、幼い男の子に寄せる作者の思いを、菖蒲という季題が良く語っています。明るくて余情の深い句です。ところで、戦後に小学校教育を受けた世代の皆さんは、この句のような書き方に違和感を感じられるかも知れません。一般的には、
もっともっとやんちゃに育て菖蒲の湯
と書きます。「つ」や「や」は小文字にしますね。ところが、私たち伝統俳句を志す者は、征一様のお書きになっておられる書き方を守っています。「つ」と「や」が小文字ではなく、大文字になっています。文語文法による表現です。
先日、九年母同人会の吟行で松山へ行きましたが、句会で回って来ました清記を見ますと、松山名物の「坊ちゃん電車」を「ぼっちゃん電車」と書いた句が沢山ありました。虚子の流れを汲む伝統派の結社でありながら、基礎的な勉強が出来ていない人が多い事を実感しました。伝統的な書き方では「ぼつちやん電車」とするのが正しいのです。主宰見習いとしては、ちょっとショックでした。
要するに、平仮名で書く場合、「っ」や「ゃ」の小文字は使わず、「つ」や「や」と大文字で書く、とご理解ください。片仮名表記の外来語はこの限りでは有りません。例えばチュウリップのように、小文字のュやッを使います。
この様な基礎がしっかり出来ていないと、伝統俳句系の選者の選には入りません。永年投句しているのに一向に入選しない、という場合は、案外このような書き方の間違いが原因かも知れません。
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