2014年7月10日木曜日

造語について

台風に伴う雨の中を、出来上がった花鳥諷詠選集の選句稿の発送に、郵便局に行って来ました。大きな仕事をさせて頂きました。約1400句から65句を選ぶ作業でしたが、良い勉強になりました。選者吟3句には、京都・大阪・神戸の祭を詠んだ句を掲げました。「花鳥諷詠」9月号に掲載されますのでご覧下さい。

さて、今回は造語についてです。最近の講座で、こんな句を目にしました。

   併走は雲の峰なり機上旅

   雲の峰広ごる牧や午睡牛

ここで問題となるのは、機上旅・午睡牛と言う言葉です。機上・午睡は広辞苑に載っていますが、機上旅や午睡牛は載っていませんので、一種の造語に当たると思います。造語とは作者が個人的に作った言葉。作者自身は分かっても、読者には通じないことが良くあります。そこが造語の危険なところです。

どちらの句も意味は分かりますが、機上の旅・午睡の牛という言葉を5音にするために、圧縮して使ったところに無理があります。同じように圧縮すれば、午睡人・午睡猫・午睡犬・午睡馬など、いくらでも作れます。作者の癖かも知れませんが、放っておくと取り返しがつかなくなる恐れがあります。

   飛行機の旅に併走雲の峰

   雲の峰牧に午睡の牛の群

のように、伸びやかに詠んでみましょう。こんな句も有りました。

   海開上がり框の乱れ靴

乱れ髪・乱れ酒ならば美しいのですが、乱れ靴という日本語はどうかと思います。

   海開上がり框に靴乱れ

でしょう。造語を防ぐためには、広辞苑に載っているかを確認することです。載っている辞書を探すのは邪道。広辞苑を基準にしましょう。言葉を磨く、という事を考えてみて下さい。        

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