3講座共通兼題の「夏座敷」と「夕立」が終わりました。講座の兼題が終わったという事は、この兼題が、ある程度理解できたという事。しっかり復習をして、自分の物にして下さい。兼題を習って覚える、この繰り返しで実力をつけて行きます。上手に詠もう、綺麗に詠もう等と思ってはいけません。季題で詠む事を、根気よく続けて行きましょう。季題で詠む事です。
さて、今回は「夏座敷」について、推敲のヒントを探してみましょう。
1.大の字に寝て見たくなり夏座敷
問題は「見たくなり」の表現。実際には寝ていないが、ふとそう思った、という事でしょう。しかし、これでは読者は納得してくれません。寝たかったら寝ればいいじゃないか、中途半端なことを言うな、と怒るでしょう。寝てどうだったか、そこを読者は期待しているのです。俳句は決断が必要です。やってしまう事です。
例) 大の字に寝れば良き風夏座敷
2.明け放ち四方の風呼ぶ夏座敷
明け放ったから、その結果として四方から風が吹き込んだのです。明けなかったらどうなったでしょう。問答になってしまいます。ならば「明け放ち」を止めて、夏座敷に四方から風が入った、これだけを詠んだらどうでしょう。
例) 四方よりの風を呼び込み夏座敷
3.忌を修し夜は雑魚寝間夏座敷
「忌を修し」までは夏座敷でも良いですが、夜は雑魚寝の間になるとの説明は、もう夏座敷という季題では詠めません。夏座敷とは、広くて、葭戸などが夏らしく設えてある座敷の事。涼しい風が吹き抜け、仏壇や神棚があり、鴨居にはご先祖の遺影が並ぶ、日本の家屋では最も神聖な部屋のこと。この様な座敷を念頭に置いて詠んでみましょう。夏座敷の季題を少し離れますが、こんな風に詠んだらどうでしょう。
例) 忌を修し終へて涼しき座敷かな
ご参考に、もう一度推敲してみて下さい。
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