年中で一番暑い時期です。京都の祇園さんも真最中。大阪の天神さんも明後日。今年の野鳥俳句会の天神祭夏行には、関東から飛び入り参加があり、喜んでいます。当日は、大阪で35度の予報が出ています。暑さ対策を十分にしてご参加下さい。当日の飛び入り参加も歓迎です。
さて先日、推敲のヒントシリーズを熱心に読んでおられる方からメールが有り、推敲のヒント(○号)では、どんな季題についてのヒントなのか分からないので、前のブログの「季題の研究」のように季題をタイトルに表示してもらえると検索が楽になる、とのご意見が有りました。ごもっともなご意見ですので、今回からタイトルのように表記します。また、過去の分も修正しておきます。
今回は、もう一つの共通兼題の夕立です。夕立は普通「ゆうだち」と読みますが、俳句の世界では、「ゆだち」と読む事がしばしばあります。例えば大夕立、は「おおゆだち」、夕立かな、は「ゆだちかな」、夕立後、は「ゆだちあと」と読みます。他にも、夕立中、夕立急なども「ゆだち」です。
1.沖すでに黒雲ありて夕立かな
問題は、すでに、という言葉にあります。何で?とお思いになるでしょうが、すでに、という言葉に理屈を感じるからです。俳句は詩ですから、理屈を離れなければなりません。目の前の事象を理屈として捉えるのは地学や物理学の勉強。俳句は、目の前の事象に対する感動を直感的に捉える事が大切。沖に黒雲が有る、夕立だ!俳句はこれだけです。夕立急、で緊迫感を出してみましょう。
例) 沖に沸く雲の黒さよ夕立急
2.夕立に濡れて馳けゆく下校の子
「かける」という場合は、「駆ける」か「駈ける」を使い、「馳」という字は「馳せる」と使うのが一般的だと理解しています。それはそうとして、この句の作者は、どんな思いで下校の子を見ているのでしょう。読者が興味を抱いているのは、「それでどうしたの」ということ。情景は分かりますが、作者の思いが伝わって来ません。写生しただけに終わっているからです。作者のご自分の子供さんだったらどう思うか、そこを詠むのがポイント。俳句は詩を創作することです。自分の子はもう成人しているからそんな句は詠めない、と仰る方には、俳句は向いていないかも。
例) 駆けて来る下校の吾子や夕立中
3.夕立雲気配に焦る露天商
接近する夕立雲と露天商の取り合わせは古典的なテーマですが、それはそうとして、中七の「焦る」に作者の主観が出てしまいました。「焦っていますか」と露天商に確認されたかどうか。この様な句の場合は、きっちり写生しましょう。多分焦っているはず、という勝手な憶測・思い込みを交えずに。その方が、露天商の動きがきびきびと描けます。
例) 夕立の気配に忙し露天商
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