2014年8月28日木曜日

秋出水

この度の、広島を初めとする豪雨災害で被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。随分怖ろしい思いをされた事と思います。特に、広島市安佐南区八木には九年母会の誌友が数名居られますので、肝を潰しました。幸いにも、死亡者・行方不明者の名簿にはお名前が有りませんので安堵しています。個別にお見舞いを、と思ったのですが、お取り込み中に却って気を遣わせてはと思い、遠慮しています。一日も早い復興を、切に念じております。

さて今月は、つぐみ句会、ひよこ句会に、「秋出水」という共通の席題をお出ししました。勿論、今回の各地での豪雨災害を念頭に置いての出題でした。目を覆いたくなるような惨状に対して、俳句は力を持ち得るか、という問いかけをしたつもりでした。

つぐみ句会
      幾筋も土砂の爪あと秋出水
      秋出水安否問ひゆくゴムボート

ひよこ句会
      子を捜す声の限りや秋出水(特選)
      流されし命の重み秋出水
      意のままにならぬ力や秋出水
      山は吠え河は怒涛や秋出水
      形さへ残らぬ家や秋出水
      

以上が選に頂いた句ですが、私の問いかけに答えられたのは、ひよこ句会の上から3つ目までの句でした。他の句は、写生に終わっています。大災害に直面した時の俳句の有り様、それは惨状を描くのではなく、如何に被災者の心に寄り添えるかという事だと思います。水や土砂崩れの心配の無いところに居て、実況中継するような、他人事のような句では、読者の心は掴めません。いずれの句も席題ですので推敲不足は否めませんが、自分が被災者の1人であったらどう詠むか、という視点が欲しかったと思います。

加えて、私も未だ出来ていませんが、秋出水と、梅雨時分の出水との違いの詠み分けです。秋出水の秋としての季節感をどう詠めば出せるか、という事を併せて考えてみて下さい。

       友の名を捜す名簿や秋出水    伸一路
      

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