2014年10月26日日曜日

仏縁の旅

きのう、おとといの2日間、ある句会の皆さんと一緒に、但馬を旅して来ました。今月号の九年母にも書きましたように、香住の遍照寺では、地域文化の振興の為、香住海岸ジオパークと矢田川流域を吟行した俳句を募集中で、この企画に協賛しようと出かけました。

素晴らしい秋晴れの2日間でした。朝から晩まで、目に触れるものは全て秋の季題という環境。秋日の中に佇む応挙寺(大乗寺)では、襖絵を丁寧に案内をして頂きました。夕日に輝く香住海岸の奇岩の数々を、有名な三姉妹船長の船で鑑賞しました。

泊まりは城崎温泉。たっぷりのお湯と美味しい夕食に大満足。浴衣姿で宿下駄を鳴らしての外湯巡りも。そして句会。お腹一杯食べてお湯につかった脳みそは、もはや完全に機能不全に陥っていました。翌朝の散歩は霧の中。向かいの山から聞こえる鹿の声。紅葉踏み分け鳴く鹿の、声聞くときぞ秋は楽しき・・・。

再び香住へ戻って、香住海岸の矢田川の河口を吟行。日本海の秋晴の潮は藍色。上空を雁の群れが、竿になって西へ渡って行きました。後を追うように、鵯の大群が、これも西を指して渡って行きました。遍照寺の和尚様とご子息、檀家の方のお世話で、車でお寺へ運んで頂き、広い境内を吟行しました。観音堂で、全員が和尚様と一緒に般若心経を諷経し、今回の俳句募集に関する仏縁についての法話を拝聴しました。芦屋の一俳人と香住の山寺の和尚様との間には、今まで全く接点がなかったのですが。不思議ですね。

8月末に見た桔梗はすっかり刈り取られ、わずかに一株が残っているだけでしたが、私たちのために一株を大切に残して頂いたお心遣いに感動しました。境内では石蕗の花が満開。そこへ現れた黄蝶。これも仏縁なのでしょう。

     蝶の黄を淡しと思ふ石蕗の花     播水

そして句会。この句会では、吟行句によくある単に見ただけの句ではなく、精神性を感じる句が沢山発表されたのには感動しました。これもまた仏縁によるものでしょう。選句稿のコピーを仏前にお供えしました。

句会を終えて、持参の弁当を使わせて頂き、奥様の心づくしのお吸い物を頂戴しました。参拝者の芳名録には九年母会員のお名前が有りました。鹿児島の会員からも投句があったとお聞きしました。    

豊岡市近郊を走っている列車の窓から、秋の空をゆっくりと飛ぶコウノトリの姿が見られました。この無季の鳥を、何とか冬の季題に出来ないか、と考えながら帰途に就きました。

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