メリークリスマス。皆様はクリスマス・イブの夜を如何お過ごしですか。今日は少し暖かい一日でした。5日間も家を空けると仕事の山。朝から頑張って、ホトトギス1月号の雑詠投句をはじめ、手紙も3通書きました。六勤センターと葺文センターの来期のカリキュラムを作成し、送付しました。雅一さんからは嬉しいメールを頂きました。千葉県へ転居された方から病気を気遣うメールが届きました。有難たいことです。
さて、先日の講座で「炭」という兼題が出ました。私の母の実家が林業で、冬場は炭も焼いていました。勿論自宅で使う程度の量です。このため、子供の時から炭に親しみながら育ちました。
炭の窯だし、俵詰め、炭切り、炭割りなどは日常生活の、何でもない作業でした。炭切りを一日やりますと、鼻の中が真黒になります。
炭火の熾し方も習いました。夏下冬上といって、夏は新聞紙などの下に炭を置いて、冬は逆に新聞紙の上に炭を置いて着火するのです。これを「嬶(かか)登場」と覚えるのだそうです。炭斗(すみとり)、十能、五徳、等今思えば懐かしい言葉です。消炭(空消し)は炭の上に置く方が良いのか、下に置く方が良いのか、子供ながらに考えて炭を熾し、火箸で火鉢に移します。火を吹きつづけると、薄紫の炎が立ちます。この火にかざした手の温みは忘れられません。
この様な体験が無いと、炭という季題が分からないかも知れません。講座の二十歳代の女性に質問しましたら、炭というのはバーベキューに使った経験しかない、との事でした。講座でも、焼鳥屋の備長炭を詠んだり、備長炭の音色の良さを詠んだり、と暖房用ではない炭の句が相当数ありました。
炭はあくまでも、日本人の冬の生活に欠くことのできない暖房用品として使って初めて、季題として働くのではないでしょうか。備長炭の澄んだ音にも、炭火焼のステーキにも季節感は有りません。やがては、炭は無季の言葉に成るかも知れません。
炭をつぎ話の接穂探しけり
特選に頂いた句です。炭は、このように会話の間を持たせるためにも使われるのです。講座の説明の中で、茶席の炭は季題にならないと説明しましたが、汀子先生にお尋ねしましたら、茶席であっても炭という季題が働いているならば良いのではないか、とのご返事でした。確かに、ホトトギス新歳時記に載っている茶席の2句は、いずれも炭を冬の茶事の材料として使っている句です。この点については、私の説明を訂正いたします。但し「炭手前」は年中行われている作法であり、この言葉だけを以て季題とするには無理があるように思います。
学問のさびしさに堪え炭をつぐ 誓子
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