2014年12月30日火曜日

定型について

いよいよ押し詰まって参りました。読者の皆様には忙しくしておられることでしょう。私も、パイプの入ったお腹をさすりながら、掃除に励んでいます。

さて、先日、桔梗の寺遍照寺俳句募集の最終選考が終わりました。お寺の方では、もう結果が出ている頃でしょう。発表は1月末との事。新聞に発表されるとの由。もう暫くお待ち下さい。

とこで、576句の選をさせて頂きましたが、字余りの句の多さに驚きました。俳句は5・7・5の音の並びを以て定型としています。ところが選を進めていきますと、7・9・5、5・7・7・などと定型を踏み外した句がずらずらと出てきました。

極端な句では、7・12・4というのが有りました。こうなると、はたして俳句なのか短詩なのか分からなくなります。2句続けてこのような破調の句が出て来ますので、そのような詠み方をされている方なのでしょうが、如何なものかと思いました。俳句では、特に中七の字余りを嫌います。中七の字余りの句を俗に、「褌の緩んだような句」といいますが、7・12・4ではゆるゆるの感じがします。

お相撲さんは廻しを巻く際、霧を吹いて締め上げると言います。このように硬く締めてこそ、土俵で戦えると言うもの。「ゆるふん」では、勝負になりません。その証拠に、3人の選者で、「ゆるふん」句を採った方は、一人も有りませんでした。字余りは特殊なもの、と理解しましょう。どうしても字余りになる場合は、上五で処理すると、そう違和感がなくなります。これを私は、「重いものは網棚へ」と習いました。字余りは上五へ、という事を言ったものです。くれぐれも中七の字余りには気をつけましょう。

      武士道とは愚直なるもの男郎花     伸一路

定型を守る苦労が実力を養う原動力です。うんと苦労をして下さい。我儘勝手で句が詠めるなら、こんな楽なことはありません。やりたい放題の「ゆるふん」で実力が向上する筈が無いのです。

ところで、私が大賞に推そうとした句が有りました。平明で余情もあり、大賞だと確信しましたが、選句稿を書いていて文法上の誤りに気づきました。「集ふ」とすべきところが「集う」となっていたのです。「かな」という切字で止めてありますので、口語文と文語文との混用です。ハッとしました。別の句を大賞に推しましたが、これには慌てました。

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