2015年1月19日月曜日

句の鑑賞④

高校時代の同級生に書の大家がおられます。第30回記念毎日現代書関西代表作家展が、阿倍野の近鉄百貨店で開かれており、彼女の作品が出品されていますので、拝見して来ました。最近、私も書の勉強を始めましたので、大変参考になりましたが、書と書道との違いを感じました。書道は書の技法を学ぶもの。書とは芸術。筆を使った美術です。彼女の作品は「花も実も有る」というものでしたが、堂々とした筆遣いに感服しました。

ついでに、隣接するあべのハルカスの展望階に上がってきました。観覧料は1,500円。高速エレベータの中は真っ暗で、暗黒の宇宙を星を見ながら上昇して行く感じ。逆に降りて行く時は、深海に潜って行く感じでした。地上300メートルからの眺めは絶景でしたが、靄か霞か、空気が濁っていて遠くは見えませんでした。澄んでいれば、明石海峡大橋や京都タワーも見えるとの由。それでも、大阪湾に沈む夕日が見事でした。一見の価値はあります。冥途の土産に如何ですか。

さて、金沢の征一様からお句を頂きましたので、披露させて頂きます。いずれも、ネット句会の「冬野」に投句されたものです。

   黙といふ抗議あるべし蜜柑剥く     征一

拗ねている訳では有りません。反論するのも馬鹿らしいことも有ります。ぷいと膨れて蜜柑を剥いている作者。何となく可愛い感じもします。夫婦喧嘩は犬も食わぬ、といいます。

  眼薬を注せば消えゆく秋思とも      征一

秋の目薬は冷たくて爽やか。目に沁みる爽やかさが、秋思を消し去ってくれました。

  考へるロダンの像に秋思あり       征一

ロダンの考える人の像を思い浮かべてみましょう。この人は何を考えているのでしょう。深まりゆく秋に自分の人生を重ねて、人の世の儚さを思っているのでしょうか。ロダンの考える人を詠んだ句にお目に掛かったのは、今回が初めて。作者の連想力の豊かさに感じ入りました。

ご提供頂き、有難う御座いました。お礼に300メートルからの景色をお見せしましょう。真ん中に移っているのは、ハルカス自身の影。彼方に見えるのは生駒の峰々。地球の丸さを実感。

  




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