2015年1月22日木曜日

初明りという季題

昨日、芦屋市民病院で、毎年1回の健康診断を受診しました。結果は、取り立てて悪い所は無し。体重も標準、肝機能はすべてA評価でした。心配していた前立腺腫瘍マーカーは、上限の4.0を下回って1.26。ホッとしました。詳細な資料が届くのは少し先になりますが、ひとまず安心。これで主宰継承活動に全力投入できます。

さて、先日の3講座で共通兼題としました「初明り」という季題。一体どんな中身(本意)なのでしょう。ホトトギス新歳時記には「元旦、東の空がほのぼのと明るくなるのをいい、また差し込んでくる明けがたの光をもいう」とあり、角川合本歳時記には「元朝に東の空からほのぼのと差してくる曙光」とあります。ホトトギスの解釈の後半と、角川の解釈とはほぼ同じことを言っています。つまり「差し始めた曙光」のことです。

一方、これとよく似た季題に「初茜」が有ります。ホトトギスではこの季題を「初御空」と同義に解釈し、角川では「初日の上がる直前に空が茜色に染まること」とあります。これは曙光が差し始める直前の光景。ややこしいですね。

私の解釈はこうです。つまり、「初明り」は、太陽が昇る前の、白々と明けて来た時であり、まだ光は差していないのです。やがて太陽が地平線の直下に近づいて来ますとい空は茜色に染まります。この段階が「初茜」。太陽が地平線に現れる瞬間が「初日の出」。太陽が空に昇りますと「初御空」。どうでしょか。つまり、初明り→初茜→初日の出→初御空 と変化して行く、という解釈です。

初明りは、一年の視覚の最初の映像。それまでは暗黒の世界です。天照大御神が天岩戸に御隠れになった時、世界は暗黒になりましたそうな。様々な工夫を凝らした神々の、たいそう賑やかな、楽しそうな様子に不審を抱かれた大御神が、岩戸から覗こうとされた瞬間。これが「初明り」。高天原の様子が薄ぼんやりと見えた瞬間です。やがて手力男命が岩戸を開け、大御神を外へ引き出したのです。この間の、高天原の明りの変化を想像してみましょう。それぞれの季題の本意を活かして詠むことが大切です。

     初明りわが片手より見え初むる     長谷川かな女

追伸: 野鳥俳句会のアイドル龍和美さんの投句が、NHKのeテレ「俳句さく咲く」に入選、明日、1月25日(日)午前6時35分〜7時に放映されますので、ご覧下さい。

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