2015年5月21日木曜日

花は葉に

今月の3講座共通の兼題の一つに葉桜があった。ホトトギス新歳時記の葉桜には無いが、角川合本歳時記の葉桜には「花は葉に」という傍題がある。ある受講者から、伝統俳句を学ぶものは、「花は葉に」という季題を使ってはいけないのか、という質問が有った。

そこで「花は葉に」という季題を知らべてみた。最初に述べたように、ホトトギス新歳時記には見当たらない。花、桜、余花、残花その他の関連の季題を見ても無い。同じようにして、講談社版日本大歳時記を調べてもない。そして、何と昭和59年8月発行の角川合本歳時記新版にも無い。現在の角川合本歳時記が第4版だから、版を重ねる間に、傍題として認められたのだろう。

傍題ではあるが、角川に認知されているほどの季題であり、使ってはいけないというものではない。俳句として、作品として優れていれば、伝統俳句の俳壇でも認められると思う。

ところで、葉桜という季題は、目の前の桜若葉の瑞々しさ、美しさに焦点を当てたものである。これに対して、「花は葉に」という季題には、花から葉への移り変わり、時の流れが要素として含まれている。この微妙なニュアンスの違いを大切にしたい。

         葉桜の色に染まりて仁王尊      伸一路
         新しき職場の話題花は葉に       〃        
     

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