2015年7月23日木曜日

選後雑感①

先月号で募集した雑詠の選が終わり、選後の投句用紙を編集長にお渡しした。これから、原稿校正の後、3度の校正を経て、印刷・正本を終えて発送、会員の皆さんの手元に届く。編集委員諸氏の多忙なローテーションがまた始まることになる。

ところで、今回の選を進める中で、いくつか問題点が見つかった。紫陽花や薔薇の時期であり、この季題を使った句が相当数あったが、厳しい落とし穴が有った。

紫陽花を平仮名表記して、「あじさい」と書いた句がかなりあった。5句投句の内3句が「あじさい」と書かれていたケースも有った。正しくは「あぢさゐ」と書かないといけないので、「あじさい」では、言うまでもなく没である。これは俳句の基礎中の基礎なのだが、80歳代後半のベテランと目される方でも、この表記が有ったのには驚いた。今までどんな勉強をして来られたのか。だれか注意してあげる方が無かったのか。不思議な事である。

薔薇をバラと書いた句も多かった。正しくは「ばら」と平仮名で書くか薔薇と漢字で書く。片仮名表記の植物は外来種。チューリップやヒヤシンスがそうである。茨城県や茨木市などの「茨」が「いばら」であり「ばら」である。「ばら」は立派な大和言葉なのだ。

時鳥をホトトギスと書いた句も有った。ホトトギスは鳥類図鑑に書いてある学術的な表記である。漢字が分からなかったら、ほととぎすと平仮名で書くのが正しい。筒鳥をツツドリと片仮名表記した句も見られた。

蛍を螢と、鶯を鴬と書いた句も沢山見られた。正しい漢字を覚えないといけない。正しくは、ほたるは蛍、うぐひすは鶯と書く。なお、せみについては、ホトトギス新歳時記の旧版では「蝉」と表記されているが、最新版では「蟬」となっている。句作に当たっては最新版に準拠して書くのが良い。従って、せみは蟬と書く。

いずれもこの季節ならではの問題である。お気を付け頂きたい。

     

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