2015年7月26日日曜日

選後雑感②

3回目の雑詠選を終えて感じた事は、雑詠の水準が著しく向上したことである。7月号をご覧になって雑詠のあるべき姿を理解された方が増えたのだろう、素晴らしい手応えを感じた。その為、4句に入選された方が大幅に増えることになった。大変嬉しい事である。新規に入会された方が投句を開始されたことも嬉しいことだ。

ところで、選をしていて困ったことの一つに季重なりが有った。5句お送りになって、内4句が季重なりという深刻なケースも有った。滝の飛沫に虹が掛かった等、その例は枚挙に暇がない。汗なども季重なりを起こしやすい季題である。季題を三つも入れた、贅沢な句も有った。

どうすれば季重なりを防げるか。とにかく、見直すことだ。言葉を紡いで一句を編んで行く、その過程で季題の重なりが無いか、慎重に見て行く他に、季重なりを防ぐ方法は無い。自宅で兼題の句を詠んで来た安心感か、句会場で大きな声で雑談に打ち興じている人を見かけるが、締切時刻まではしっかり見直しをしてほしい。漢字や仮名遣いに間違いはないか、季重なりになっていないか等、いくらでもする事はある。

どちらかが主で、他方が従であれば、季重なりでも構わないと言われるが、これはベテランが意図的にする作句の技法の一つ。初心の間は、基本的に避けた方が良い。季題で詠む俳句に季題が複数あることは、17音しかない俳句と言う短詩形文学に於いては、本来無理があるのだ。作者の思いや意図するところを、季題をして語らせるのが俳句であるが、一句中に季題が複数あっては、語ることがバラバラになってまとまらない。

何か変だと思ったら、迷わず歳時記を繙いてほしい。この直感力は、不断の努力で培ってゆくしかない。アンテナをいつもピンと張り、感度を上げてゆく訓練を続けて欲しい。

       宇宙人の声とは斯くや扇風機    伸一路


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