ある句会で、水母(くらげ)という題が出た。案じていた通り、擬態語が沢山有った。「ぷかぷか」「ふわふわ」「ゆらゆら」等がそれである。この擬態語を専門用語でオノマトペ(onomatopoeia)と言う。「さらさら」「ざあざあ」等、実際の音を真似て言葉にした擬音語や、「わんわん」等の鳴き声を模した「擬声語」も、これに含まれる。
水母というと波間に「ふわふわ」浮かび、「ゆらゆら」揺れているもの。これは日本人の常識だ。水母を見たら、誰でもそう思うからである。水母が「からから」浮かぶと詠む人はいない。雲は「むくむく」湧くのであり、煙は「もくもく」と漂う。だから、こんなオノマトペを使わなくても、その情景が目に浮かぶように詠むことだ。例えば次の句、
水母浮く波にゆらゆらいつまでも
この句は、
水母浮く波に揺られていつまでも
とすれば「ゆらゆら」は消せる。オノマトペを使わず、しっかり詠み切ることが大切である。情景を描き切ることである。
沈みゆく水母に憂ひある如く 伸一路
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