2015年8月10日月曜日

金の卵

10月号の雑詠の選をしていて、ふっと手が止まった。年齢の欄を見て驚いた。32歳と有った。千葉のある会員の方と同じ世代だ。姓号の欄を見て又驚いた。旧姓のままで投句しておられるのだが、この姓を拝見してピンと来た。

早速、ご実家のお母さんに電話してみた。果たして、私の感が的中した。「貴女の遺伝でしょう、いい筋をしておられますね」と申しあげたら、お母さんの嬉しそうな声が帰って来た。娘さんの句は若々しく、新婚生活の喜びに溢れていた。1句を選んで、その自句自解を九年母誌に掲載しようと思う。九年母会の宝として、大切に育てて行きたい。

30歳代・40歳代の会員が着実に増えて来ている。まだまだ数は少ないが、新しい芽が着実に伸びて来ている。新しい芽を伸ばす方策を打って行かなければならない。その一つとして、新人賞の創設を、先日の運営委員会に提案した。

若い芽は潰してはならない。出る杭を打ってはならない。主宰が若いと、若い人が伸びる。最近解散になった俳句結社の状況を見ると、後継者の育成に失敗したところが多い。主宰の最大の任務は、後継者の育成であることは論を待たない。傘下の句会の指導者でも同じである。句会の後継者の育成を怠り、指導者の地位に胡坐をかいているような句会は、やがて消えてゆく。

会員1人が1人の後継者を育てれば、結社の未来は安泰だ。最近、賛助会員となって、家族投句をされる方が増えて来ている。親から子にバトンタッチをされるのだ。立派な後継者の育成である。今日も若い女性の入会申し込みが有った。嬉しい事だ。

九年母会では、開設以来50年を超える句会が沢山ある。会員各自が、意識を持って新しい会員を育てて来たからこそ、これだけ続いて来たのだ。要は、各自が自分の事として捉えるかどうかという事に掛かっているのである。

金の卵という言葉がある。金とは既に鉱石から製錬されたもの。俳句の世界での若い人は、鉱石だ。製錬するのは私達の仕事である。含有率を調べて、それぞれに応じて製錬する。光るか光らないか、結果として評価されるのは、私達先輩なのである。

        漆黒の闇に船の灯天の川     伸一路

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