2016年3月24日木曜日

松苗神事

今日は朝から、大阪の住𠮷大社の吉祥殿にて、松苗神事献詠俳句の順位を決める選者会があり、天・地・人の3賞と佳作10点が決まりました。今回は九年母会の皆様の活躍が目覚ましく、天賞と地賞に入賞されました。特に天賞は、私が満点を付けた句でした。他の4人の選者も全員が支持されていました。月末までには、該当者に通知が届く予定で、4月3日土曜日に神前で表彰式が執り行われます。私も下萌句会を欠席して、駆けつける予定です。

大社の方の求めに依り、3賞それぞれの評と総評を書いたのですが、この神事がいつごろから催行されているのか分かりませんでした。帰宅後、調べてみますと、江戸時代の天明年間の故事に基づき、緑化運動の一環として、何と昭和15年から、催行されていることが分かりました。

年々新しい松の苗が植えられています。私たちは、松苗神事を俳句に詠む事によって、環境の保全と緑化の推進に協力している訳です。この素晴らしい運動に、皆様も今迄以上にご協力頂きたいと願っています。

しかし、総評にも書きましたが、松の苗を植える事だけを詠んでいますと、年々、類句・類想句の山を築くことになります。実際、去年も見たな、という句がかなりありました。「明石の春を詠む吟行会」が鮊子(いかなご)ばかりを詠んで限界に達し、中止に至ったのと同じです。住𠮷大社は神功皇后創建以来の1500年を超える歴史があり、風光明媚な環境や、境内に処狭しと置かれた江戸時代の巨大な燈籠群。住之江の湿地に起源を発するという水路とそこに架かる太鼓橋など、句材には事欠かきません。遣唐使の一行も、ここにお参りして旅立ったそうです。

多彩な句材を活用して詠む事により、類句・類想句の発生が防げ、それまで詠まれた事が無い着眼点の、新天地の句が詠めると思います。来年は思い切って新境地の句を詠んでみて下さい。


          反橋をくぐりて飛べり初燕      伸一路



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