2017年1月7日土曜日

正月一切の題

今日は五節句の一つで、人日。七草粥で祝う日です。

      何をもて人日の客もてなさん    虚子

つい先日初詣に出かけたと思ったら、もう7日。時間の流れの早さが身にしみます。
さて、今月はあちこちの句会で「正月一切」という兼題が出されていると思います。今日も午前・午後と六甲道勤労市民センターの俳句入門講座の講師を務めて来ましたが、兼題は「雑煮」と「福笑」。いずれも正月の季題です。

正月の季題は実にたくさんあります。初日の出・初御空・初鴉・初雀・初夢・初旅等、初の付く季題が目白押しです。では「初」が付けば何でも正月の季題になるのでしょうか。初糶・初荷・初売等はお目出度くて景気も良い感じがします。ならば初欠伸はどうでしょう。おならを「初屁の出」と茶化した人が有りましたが。

昨年の「九年母」正月号に「正月の季題」と銘打った五十嵐哲也前主宰の随想が掲載されていました。その中に、ある方から「初転び」は季題になるかとの質問があったので汀子先生に確認したら、目出度さが無いから駄目だと言われた、と述べておられる部分があります。

まさに言い得て妙。正月の季題は目出度いのです。顔を洗うのですら、初手水と目出度く詠います。初鏡は身が引き締まります。私の実家では、二日の朝に初風呂に入るのが慣わしでした。
目出度いか目出度くないか、で決めるのは、なかなか良い判定だと思います。

逆に言うと「正月一切」という兼題が出たら、どんな題でも目出度く詠めという事でしよう。正月の兼題を悲しく淋しく詠んでは正月らしくない。しみったれた、情けない句も同様です。独りの雑煮が淋しい、という句を目にしました。気持ちは良く分かりますが、目出度くないですね。少々大袈裟なくらい目出度く詠んでみたらどうでしょう。
        大いなる雲の去来や初御空     伸一路

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