2018年8月30日木曜日

短冊の処理

前回に引き続き、句会の作法に付いてお話します。短冊(小短冊)が配布され、清記用紙に転記します。読者の皆さんは、この後、転記が終わった短冊をどうしますか。句会場で見まわしていると、実に様々です。乱雑に机の上に置いたままの人、ノートに挟み込んでいる人、軽く結んで机上に置いている人。

 私は、昭和59年5月に初めて句会に参加しましたが、師匠の古澤碧水から、短冊の処理を習いました。それは、短冊をきっちり揃えて結ぶというものでした。清記が終わって静かに短冊を結んでいると、心が落ち着いて来ます。さあ、選をするぞ、という気持ちが湧いてくるのです。茶会の袱紗捌きにも通じるものがあります。軽く結んで机の上に置きます。周りの人の目に見える位置におき、短冊通りに清記しました、不正は一切ありません、という意思を示します。

 最初は、 神社で頂く御神籤のようにしっかり結んでいました。その後、汀子先生宅で開催される下萌句会に参加する内に、長山あやさんの結び方に感動しました。それは、しっかり結ぶのではなく、五角形に結ぶというもの。ふわふわとお握りを握るように軽く結びます。なかなか綺麗な五角形にはなりませんが、結んでいる内に気持ちが解れて来ます。句会が始まるという緊張感の中で、ちょっとした気分転換にもなります。
 
 俳句は、座禅や茶道と並んで精神修養の場とされています。どこかのテレビで放映している番組は、面白おかしく俳句を茶化すだけで精神修養とは縁がありませんが、本来の句会では、投句、清記、選句、披講と進んでいく過程で心が純化されていくのです。一つ一つの所作、手順を心を込めて進めましょう。短冊を結ぶのもその一つです。乱雑に散らかすことが無いようにしたいものです。
 

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