どこの句会だったかは覚えていませんが、こんな句が有りました。
生還の講話さはやか息も継ぎ
一見して古風な句。最近の句会ではほとんど見かけない句です。何が古風か。下五の叙し方に注目して下さい。シベリアに抑留されていた方の体験談を聞いての思いを詠まれたのかも知れません。その話の内容が爽やかだったのでしょう。ここまでは良いのですが、下五の「息も継ぎ」とは何でしょう。話に引き込まれていた作者が、ふと我に返って息継ぎをされたのでしょうか。この句で、作者が息継ぎをしたことを詠む必要があるでしょうか。「息も」の「も」は何でしょう。何か他に継ぐものが有るのでしょうか。
六甲道勤労市民センター俳句講座での句です。
あつあつと一人雑炊流行りなり
①あつあつの雑炊を食べた。②一人用の雑炊を食べた。③一人用の雑炊は今世間では流行っている。この三つの句材を詰め込んだ句です。十七音の短い文芸に、これだけの材料が入り切るでしょうか。加えて、世間で流行っている、という句材に詩情が有るでしょうか。一人用の雑炊をふうふう言いながら食べた。これで良いのではないでしょうか。
今日のパロディー句 膏薬や甲の下の切り傷に 伸坊
(むざんやな甲の下のきりぎりす 芭蕉)
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