2020年1月13日月曜日

今日の二句  その11

阪神支部例会での句

ひとひらの日の欠片置く春隣

「春隣」が席題だったのでやむを得ないのですが、物を見ていない。ひとひらの日の欠片、という表現は詩的ですが、どんな情景でしょう。作者本人は情景が見えているのでしょうが、読者にはさっぱり見えない。物に託して詠むと、読者がその物を連想することによって情景が見えて来ます。物に託すためには、しっかり写生することです。言葉遊びに感動は有りません。本物の感動を詠みましょう。

ほんのりと空に詩の生れ春隣

この句も分かったようで分かりません。物を見ていないからです。空に詩が生まれるとはどういうことでしょう。物・場所・時そして季題の設定。しっかりとした句の構想・設計図が描けていないと骨の無い句になってしまいます。勢いを増して来た日の光だとか、北帰に備える鳥の羽音だとか、春隣をどう演出するか、考えて見ましょう。

今日のパロディー  行年や駄句啼き我の目は涙     美甲
         (行く春や鳥啼き魚の目は泪     芭蕉)

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