ある句会に投句された句から
訪ひし寺吹かるるままに冬の蝶
冬の蝶が、風に吹かれるままに漂っている光景に着目して詠んだ句です。俳句の材料としてはこれで十分です。そうなると、上五の「訪ひし寺」とは何でしょう。見たままを詠もうとして、冬の蝶を見た場所を正直に詠み込んだのでしょうが、一句の上では何の役割も果たしていません。どこで冬蝶を飛ばすか。作者の力量が問われます。
デパ地下の師走の試食多くなり
川柳は俳句から分かれた文芸ですが、この句は俳句というより川柳に近いのではと思います。俳句には室町時代以来の歴史の重さがあります。品と格と調べとは、俳句の基本的な理念です。詩であることを忘れず、俗に流れないように戒めましょう。スマホ、コンビニ、デパ地下などは、詩の言葉として洗練されたものとは言えません。
今日のパロディー句 遠山に火の手の上がる焼野かな つゆ女
(遠山に日の当たりたる枯野かな 虚子)
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