2020年4月10日金曜日

今日の二句  その30

句会が全て中止になっていますので、ちょっと古い句会の句です。今回は、焦点の絞り方について考えて見ましょう。

店先に薄色並ぶ春隣

句意は分かりますが、春隣の説明になっています。こんな春隣ですと。春隣と言う季題を説明しても俳句にはなりません。季題は使うものであって、説明するものではないのです。作者が詠みたいと思ったのは「店先に薄色が並んでいる」こと。さらに焦点を絞って行くと「薄色」なのです。ならば、ここに焦点を当てて詠めば、俳句になります。

    例)店先に並ぶ薄色春隣
これで、作者の気持ちはすっとした事でしょう。

南縁に猫のまどろむ春隣

この句も春隣と言う季題の説明をして、失敗しています。俳句ではなく、説明文です。

作者が詠みたいと思ったのは何でしょう。南縁なのか、猫なのか、まどろみなのか、春隣なのか。私は猫だと思います。猫がまどろんでいる姿に興味を抱いたのでしょう。ならば
     例)南縁にまどろむ猫や春隣
と詠むべきです。この句の舞台の主人公は猫です。春隣は季節感を出すための道具です。

政府や自治体が、三つの密(密閉・密集・密接)を避けよと要請しています。読者の皆様もご注意下さい。

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