句会の句が有りませんので、送って来られた句を使わせていただきます。今回は説明句について再度考えて見ましょう。説明句とは、あることを説明している句の事です。多いのは季題を説明している句です。句と言っていますが、俳句ではないのです。句とは五・七・五の言葉の集合体を言います。説明句という言葉の集合体です。俳とは、常識に背いた、一風変わった振る舞いをすること。上手に演技をする人の事を俳優と言うではありませんか。説明は常識ですから俳ではありません。詩は常識を超えた文学です。
釣糸の光りつ伸びる春の空
一読して春の空の説明であることが分かります。こういう春の空だった、という説明です。季題が「春の空」ですから、季題の説明をしているのです。それで詩と言えるでしょうか。詩とは感動を綴った文学です。説明を幾ら綴っても詩にはなりません。この句を
光りつつ伸びる釣糸春の空、としたらどうでしょう。春の空の説明が消えて、一番言いたかった、光ながら伸びる釣糸に焦点が当たりました。このようにして説明感を抜きます。
産声の高らかに聞く春の空
同じ兼題の句ですが、やはり春の空の説明になっています。こんな春の空でした、という説明です。報告と言っても良いでしょう。この句で作者が一番言いたいのは何でしょう。それは「高らかな産声」です。ところがこの句では「春の空」なっています。これが、詩ではなく説明になっている原因です。要するに、自分の言いたいことを、春の空と言う季題を使って表現すればよいのです。それを五・七・五に纏めれば完成です。この句、例えば、
高らかに聞く産声や春の空、としたらどうでしょう。産声に焦点が当たりました。
季題の説明にならないように、自分が詠みたいことが何かをしっかり掴み、そこに焦点が当たる詠み方をしましょう。
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