2020年5月29日金曜日

今日の二句  その44(鯉幟②)

案の定と言いますか、緊急事態宣言が解除されるのを待っていたかのように、北九州市を初め各地で感染者が再び増加し始めました。決して心が緩んだのではないでしょうが、人の動きが始まると増え出しました。どんな状況のどんな場所で再発しているのか、はたして三密が守られていたのか、客観的に調査して公開して欲しいものです。

手作りの鯉幟持て孫はしやぎ

いわゆる「孫句」です。孫を詠んだ句を採らない選者が沢山おられます。私も、原則として孫の句は頂きません。なぜかと問われると、①孫がどうしたかは、個人的な問題であり、俳句として発表することであるかどうか。②孫が無い読者の前で、こんなことを発表してよいかどうか。こういうことに無頓着で、俳人と言えるでしょうか。読者の心に訴え掛ける、詩人の心を大切にしたいものです。俳句は作者と読者との心の交流、共感が無ければ成り立ちません。成り立たない句を「独り言」と言い、芸術には成り得ません。

     例)登校や手作りの鯉幟持て


五月晴れ矢車カラカラ鯉幟

この句を見た瞬間、季題のかたまりのような句だと思いました。「五月晴れ」「矢車」「鯉幟」と季題が三つ入っているだけではなく、「五月晴れ」の送り仮名、「カラカラ」という擬音の表現、など問題点の塊のような感じがします。没にするのは簡単なのですが、このような句でもどこか良いところがある筈、と考えるのが選者です。そこで、三つの季題の内、どれを残せばよいかと悩みます。私なら、この句では矢車を残して後の季題を消します。

    例)音立てて廻る矢車空青し

0 件のコメント:

コメントを投稿