2020年7月10日金曜日

今日の二句  その52(報告②)

九州や中部地方などの各地で、梅雨末期の豪雨による甚大な被害が発生しています。亡くなられた犠牲者の皆様に哀悼を捧げますと共に、被災された皆様に、心からお見舞い申します。まだ暫くは大雨の被害が予想されますので、皆様もくれぐれもご注意下さい。

さて、今回も報告体の句についての研究です。

渋滞の心和ます夾竹桃

夾竹桃がどんなものかの報告になっているのがお分かりだと思います。渋滞の心を和ませる夾竹桃なのです。この句の季題は夾竹桃。夾竹桃と言う季題が出たら夾竹桃を、一生懸命に詠む人があります。しかしそれは、夾竹桃についての報告であって、俳句という文学では有りません。夾竹桃と言う題が与えられたら、静かに心を整え、深く沈潜して、夾竹桃に関する様々な思い出の中から、喜怒哀楽の想いに繋がる夾竹桃を選び出して、その想いを五七五の形に乗せて行きます。私には、沖縄の米軍基地を壁のように取り囲む夾竹桃のイメージが湧いてきます。恐ろしくて悲しい思い出です。最初はバラバラですが、やがて整った形が生まれて来ます。こうして俳句が出来上がって行くのです。掲句は、夾竹桃が心を和ませることに焦点をあてます。

     例)渋滞の心和ませ夾竹桃

でで虫に歌を聴かせて囃しをり

子供達が蝸牛と遊んでいる様子を詠んでいますが、蝸牛に歌を聞かせて囃しています、という報告になっているのがお分かりでしょう。蝸牛を単なる物として捉えていて、季題としての使い方では有りません。蝸牛に歌を聴かせている子供達。子供と蝸牛が一体となった世界を詠んでみましょう。

     例)囃しつつ歌を聴かせて蝸牛

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