2020年8月3日月曜日

今日の2句 その56(個人情報③)

今月号の「九年母」誌の雑詠で、このブログを参考にして学んで来られた岸本悦子さんが、第一席(巻頭)を獲得されました。このブログの愛読者としては、巻頭第一号です。三宮のジュンク堂で買って来た「九年母」を教科書に、出来た作品をこのブログの添削欄に投句して勉強を続けて来られました。主宰を継承し、多忙となったので添削欄は閉じましたが、私自身、長年の努力が報いられて喜んでいます。今後は推薦作家となって経験を積まれ、課題句選者などの要職に就いて、「九年母」運営の一端を担って欲しいと願っています。

さて、今日の二句も個人情報についてです。

追憶の浴衣早縫競ひし日

この句、作者個人の経験・思い出を詠んでいます。こんな事も有りました、と。この句では、浴衣の早縫い競争をしましたという個人情報です。しかしこれは、作者の個人的な思い出であって、読者には何の関係も無いことです。個人の特殊な思いでを、読者に押し付けては、俳句にはなりません。

           例)男物浴衣も婚の仕度かな

幼三人手縫ひ浴衣を着せ詣づ

この句も優れて個人情報を詠んだ句です。幼い子供三人に、手縫いの浴衣を着せてお参りしました、と。幼い子が三人・手縫ひの浴衣。どの言葉も、読者には何の関係も無いことです。関西の読者なら「なんで三人やねん」と言い出すでしょう。「手縫いしか着せないの?」と言う人もあるでしょう。自分の思い出を読者に押し付けるのは避けましょう。

           例)久々に親子揃ひの浴衣かな



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