さて、今日の二句も個人情報についてです。
追憶の浴衣早縫競ひし日
この句、作者個人の経験・思い出を詠んでいます。こんな事も有りました、と。この句では、浴衣の早縫い競争をしましたという個人情報です。しかしこれは、作者の個人的な思い出であって、読者には何の関係も無いことです。個人の特殊な思いでを、読者に押し付けては、俳句にはなりません。
例)男物浴衣も婚の仕度かな
幼三人手縫ひ浴衣を着せ詣づ
この句も優れて個人情報を詠んだ句です。幼い子供三人に、手縫いの浴衣を着せてお参りしました、と。幼い子が三人・手縫ひの浴衣。どの言葉も、読者には何の関係も無いことです。関西の読者なら「なんで三人やねん」と言い出すでしょう。「手縫いしか着せないの?」と言う人もあるでしょう。自分の思い出を読者に押し付けるのは避けましょう。
例)久々に親子揃ひの浴衣かな
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