西播磨俳句祭の723句の選が終わり、ようやく一段。明日から「俳句四季」に載せる『花の歳時記』の執筆に掛かります。原稿用紙4枚の随筆を書き、投句して頂いた桔梗の句を纏めます。さて、今回も止め方について学びます。
今落ちそう葉先の露の大きけり
「大きけり」は「大鳬」と変換されてしまいますが、「大きけり」という日本語が無いからです。何故なら「けり」という助詞は、活用語の連用形に付きますが、形容詞には付かないからです。「有りけり」・「無かりけり」・「住みけり」など、いずれも動詞の連用形に「けり」が付いています。これに対して「大き」・「小さい」・「楽しい」・「悲し」などの形容詞に「けり」を付ける場合は「大きかりけり」・「小さかりけり」・「楽しかりけり」・「悲しかりけり」とします。「大きくありけり」が「大きかりけり」と変化したものです。
この句は、「かりけり」では字余りになりますので、
例)今落ちさう葉先の露の大きかり としましょう。
名のみ在る旅館の跡や蜜柑植ゑ
この句の問題点は、下五を「植ゑ」と動詞の連用形で止めた事です。いわゆる「連用止め」と言われる止め方になっています。本来ならば「植ゑたる」と止めるべきところを、字余りを嫌って「植ゑ」とちょん切ってしまっているのです。そのため中途半端な感じの切れ方になってしまうのです。止め方が中途半端だと、句全体が中途半端になってしまします。止めるべきところはしっかり止めることが大切です。
例)名のみ在る旅館の跡の蜜柑かな
0 件のコメント:
コメントを投稿