2021年5月25日火曜日

口語表現と文語表現

 読者の皆さんはワクチンの接種をされましたか。もう2回目が終わった方もおられるでしょうね。私の住む芦屋市では、24日から85歳以上の方の第1回目の接種が始まったばかりですので、私の年齢では、まだまだ先になります。

6月号の雑詠の選が終わりましたが、今回も口語表現(口語体)と文語表現(文語体)との間違いが多く見られました。特に80歳代後半以降の方々には、この二つの表現について習っておられないのではと思うほど、間違いがありました。

俳句は17音しか無い文芸ですので、短歌に匹敵するだけの感情表現をするため、様々な仕掛けを設けています。その一つが切字です。「や」・「かな」・「けり」を代表とする文語表現の切字によって、回りくどい説明をしなくとも、自分の思いが簡潔に表現できるのです。

それが分かっているのに、文語表現と口語表現がごっちゃになるのは、文語表現を習ってないから。逆に言うと教える人が無かったから、教える自信が無かったからです。例えば「競い合う」と詠んだ句が有ったとして、もしこの句に「や」とか「かな」とかの切字が使われていたら、「口語文語統一の法則」(勝手にこう呼んでいます)により「競ひ合ふ」としなければなりません。ところが、「や」・「かな」という切字を使いながら「競い合う」と詠んでいる句の何と多いことか。「雨が降りそう」は「雨が降りさう」。「こうのとり」は「こふのとり」。枚挙に暇がないとはこのことです。

切字をしっかり効かせて詠む。その場合は俳句全体を文語表現で正しく詠む。文体が混ざっている句は、評価されません。

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