ある句会で「新茶」と言う席題を出しました。新茶と言う季題は、八十八夜の頃に、その年最初の芽を摘んで作った茶葉で作った茶をいいます。ホトトギス俳句季題便覧を見てみると「茶の新芽を摘んで、その年最初に作られた茶のこと。走り茶」と同様の説明があります。
ところが投じられた句を見てみると「新茶摘む」・「新茶揉む」という使い方の句が沢山ありました。これは「新茶」という季題にたいする、基本的な理解不足によるものです。「新茶」という季題の仲間に「茶摘」・「製茶」という季題が有って、これらの季題が混じり合ってしまった結果だと思います。
「新茶摘む」は「新茶」と「茶摘」の、「新茶揉む」は「新茶」と「製茶」の傍題の「茶揉み」とが合体したもので、「新茶摘む」と使うと、「新茶」と「茶摘」との季重なりのような事象がおこります。作者の気持ちは分かるのですが、「新茶摘む」・「新茶揉む」というのは誤った用法です。
角川合本歳時記で「新茶」を検索すると「その年の新芽で製した茶。走り茶ともいい、最も早い芽で作ったものを一番茶と呼ぶ。」とあります。一番茶を摘んで、それを製茶して初めて新茶ができるのです。新茶を摘むのではなく、一番茶を摘んだ結果が新茶になるのです。微妙な違いですが、正しく使い分けることが大切です。
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