今年の4月から、田辺市の紀伊民報紙上に「ブラジル俳壇」を設けていただき、ブラジル在住の日系の皆様からお送り頂いた俳句を掲載しています。毎月20名強の方の句の選をしていますが、紀伊民報の読者の俳壇である「紀伊俳壇」と同じ兼題で詠んで頂いています。
ところが、地球儀で言うとブラジルは日本の反対側に有り、気候も反対です。日本で夏の時はブラジルでは冬です。現地から送って頂いた「ブラジル歳時記」を開いてますと、最初の季節は夏です。夏の部の最初の季題は「一月」。次いで「新年」、「去年今年」、「正月」、「元旦」と続きます。つまり、ブラジルの正月は夏なのです。
現地の季節に合わせて兼題を出して投句して頂くのが良いのですが、そうすると真夏の紀伊民報の「ブラジル俳壇」に真冬の句が並ぶことになり、民報の読者の立場からすると違和感を覚えることになります。これが目下の最大の悩みです。
ところで、先月の募集句の兼題は「夕焼」でした。60句ほど送って頂きましたが、さすがに広大な大陸の国、夕焼けのスケールの大きさに感動しました。中でも次の2句はブラジルに対する私の憧れを掻き立ててくれましたので、掲載させて頂きます。
アマゾンの樹海を染めて大夕焼け 三宅昭子 (パラ州)
夕焼けて大アマゾンの空焦がす 後藤たけし (サンパウロ州)
淀川や武庫川の夕焼けも捨たものではありませんが、圧倒的な景の大きさに驚くばかりです。アマゾン川は世界最大級の流域を持つ大河。こんな大景を詠んだ句は見たことが有りません。アマゾンの夕焼けを詠んでみたいと思いました。
播水がその著『流る月日』の中の「遠来の客」という一文(同書98頁)で、ブラジルから尋ねて来られた九年母会員の事を書いておられます。その中で「私は九年母ブラジル吟行を提言した」と述べておられます。播水の憧れの吟行は叶わなかったのですが、ブラジルと九年母との関係を物語るエピソードとして胸を打ちます。
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