2021年10月15日金曜日

秋は高いか

 昨日は、千鳥句会の吟行で摩耶山に登り、穂高湖周辺を散策、天上寺の大書院をお借りして句会を開催しました。遠くは淡路島や堺市からも参加者が有り、天上寺の伊藤浄厳貫主(虚舟同人)も参加され、24名の参加となりました。

お寺の境内のあちこちに栽培されている藤袴の蜜を求めて、渡りをする蝶として有名なアサギマダラが無数に乱舞し、大勢のカメラマンやハイカーが珍しい光景を楽しんでいました。この境内には、九年母会が建立した、蕪村、播水、大馬、伸一路の4基の句碑があり、天上寺と九年母会の縁の深さを物語っています。

さてその句会でも、秋高しという季題で詠んだ句が投じられましたが、今月は各地の句会で、秋高し・天高しという兼題や席題が出されています。そこで今回は、秋高し・天高しとはどんな季題か考えてみましょう。参考になる句を探そうと、播水の句集を数冊調べてみましたら、その結果は驚くべきものでした。

   「埠頭」(昭和17年) 秋高し 0句  秋晴 4句

   「石蕗の花」(同29年) 〃  0    〃 2

   「老鶯」  (同49年) 〃  0    〃 9

   「秋燕」  (同55年) 〃  0        〃 3


角川俳句大歳時記の例句の1句目が虚子の句であることからしても、秋高しという季題は余り詠まれて来なかったようで、播水の句集からも、そのことが分かります。そこで問題、

    はつらつと選手宣誓

さてこの句の下五は秋の晴で良いでしょうか。私なら、天高しとします。崇高な理想に向かって、或いは高い志を抱いて目標に対峙している、そんな内容の句の場合は秋晴ではなく秋高しや天高しの方が合うように思います。運動会の玉入れ競争で、青い空に掲げられた籠に赤や白の玉が投げ上げられている光景を想像して下さい。赤勝て、白勝てと大きな声援が寄せられています。さてこの場面を句に詠むとしたら、天高しでしょうか、秋の晴でしょうか。私なら、天高し(秋高し)とします。なぜでしょう。

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