文化の秋、芸術の秋とあってか、大変忙しい一カ月でした。それも終わり、昨日からは少し余裕が出来ましたので、次の句集の準備を始めました。第4句集になります。平成30年正月以降の句を纏め、来年か再来年には上梓したいと思っています。句集名をどうするか、これから考えますが、引き続き鳥に関連するものにしようと思います。
さて、今月も各地の支部や句会から後日選を沢山お送り頂きました。その中に、「かな」で終る句もあったのですが、間違いではないのですが、使い方で損をしている、そんな句が散見されました。例えば、ある方の句ですが、
旅の宿会話弾みて夜長かな
句意は明確、このままで何が悪いと言われると困るのですが、句の調べ(リズム)の流れを考えみると、「弾みて」で一瞬止まるのを感じませんか?さらに読んで行くと、最後の「かな」でぎゅっとブレーキが効いて止まります。つまり、ブレーキが2回、最初は軽く、2回目は本格的にブレーキを踏んでいる感じがします。これに対して、他の句を見てみますと、
お向ひも裏も夜長の明かりかな
夜の更けて秋風を聞く独かな
今朝の汁摘み菜の香る旨さかな
どの句も、自動車が停止線でぴたりと止まるように、最後の「かな」で無理なく止まります。その秘密は、中七が下五へ無理なく続くからです。夜長の明かりかな、秋風を聞く独かな、香る旨さかな、と素直に続きます。掲題の句は
旅の宿会話の弾む夜長かな
旅の宿会話弾みし夜長かな
としたら、どうでしょう。最後を「かな」と止める句が詠めたら、「かな」までの調べに気を付けて、ブレーキの効き具合を点検してみましょう。
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