2024年1月17日水曜日

常用漢字

 昭和21年(1946年)11月、現代国語を書き表すために、政府が日常使用する漢字の範囲を定めて公布した、1,850字の漢字を当用漢字といいますが、その後見直しが行われ、昭和56年(1981年)3月の国語審議会の答申を受けて、一般社会生活において使用する漢字1945字が選定され、同年10月に告示されされました。これを常用漢字と言い、義務教育で習います。更に平成22年(2010年)の告示で2136字に改められました。

私達はこの常用漢字を使って俳句を詠んでいる訳で、新聞や雑誌なども、原則としてこの常用漢字を使って発行されています。ところがこの常用漢字の他に人名だけに使う人名漢字や、表外漢字と言って常用漢字表に載っていない漢字が有ります。

スマホで調べてみると、表外漢字として、飴、伊、炒、噓、絆、繋、蝶、杖、吊、濡など、日常的に使っている漢字がたくさん有ります。このような漢字は学校では習わず、本を読んだり仕事を処理する中で習い覚えます。俳句を詠む際にも、常用漢字以外の漢字を自然に使っています。

先日「九年母」の雑詠投句に「鵟」という漢字を使った句が有りました。この字は「ノスリ」と読み、鷹の一種です。形は鳶によく似ていて、尾羽が扇を開いた形であることと、両翼の幅が広いことが特徴です。鵟も鳶も、鳩も雀も燕も鴨も、常用漢字ではなく表外漢字です。こんなことが案外、九年母の句は難しいと言われる要因かも知れません。

最初の句集「鳥語」を上梓した時も、漢字がむつかし過ぎるという話を聞きました。特に鳥の名前がたくさん出てきますので、鴛鴦、鶺鴒、梟などは、俳句をしない一般の方は先ず読めないでしょう。ならば片仮名で書く方が良いかどうか。

俳句は詩ですから、漢字か片仮名か、場合によっては平仮名か、どちらがより詩的に表現できるかということで決めれば良いと思います。しかし少なくとも、難解な漢字は避けるべきでしょう。読者が読めて理解できる。これは俳句の大原則ですから。


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