2014年3月15日土曜日

春雪

お久しぶりです。3月4日に39.6℃の高熱が出て以来続いていましたしゃっくりが昨夜からぴたりと止まりました。10日間、夜も昼も、睡眠中も続いたしゃっくりが無くなりました。しゃっくりは病気ではなく、何軒か回りましたお医者様も首をひねるばかり。原因が分から無いのです。辛い日々が続きましたが、最後に掛かった消化器専門の先生は胃の衰弱と判断され、お薬を処方して頂きましたら見事に効きました。明日は明石市の東二見で開催されます九年母本部吟行に、選者として参加して来ます。

さて、今日の俳句講座で、この句を巻頭に頂きました。

     春雪や泣きつつ笑ふ形見分け      和美

作者のお祖母さんが先日亡くなり、その遺品整理の様子を描かれたのでしょう。先ず、泣きつつ笑ふという、特異な表現が目につきます。確かに、亡くなった直後と違って、七日・七日を経るにしたがって遺族の心にも落ち着きが生まれて来ます。遺品を見ては泣いてばかりだったのが、在りし日のお姿を思い出して笑顔になるゆとりが生まれて来ているのです。

問題は、春雪という季題の斡旋の可否です。悲しいばかりの時期が過ぎ、少し心に余裕が生まれて来た現在。お祖母さんの事を皆で思い出して、そうそう、そんな事があったね、あの時は楽しかったね、と笑い声が漏れる部屋。根雪でも残雪でもいけません。降ってすぐに消えてしまう春の雪こそ、この場面にぴったりの季題ではないでしょうか。

ご遺族の悲しみが、淡い春の雪のように薄らいできたこと。これは作品を読む読者にとっても嬉しいことです。家族を持つ限り、誰もに待ち受けている悲しみ。それを乗り越えてゆかれる様子を拝見することは、読者にとっても救いなのです。従って、この句の春雪という季題の斡旋は真に適切であり、巻頭に頂いた所以です。   

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