去る4月8日、鎌倉の寿福寺にて、虚子先生の56回忌が営まれました。汀子先生を初め、一門の先生方がお揃いになる中、午前中に法要が営まれ、午後は追悼の句会です。今年は体調が絶不調で参加できませんでしたが、253名の方が句会に参加されたとか。寿福寺の本堂は狭くて板の間。あそこに250名を超える人が入ったら、どんな光景になるか。そんな所です。そこで一句。
ボタンちぎれ打ち重なりぬ二百人 伸
私は虚子先生の50回忌の時に同人に推挙して頂きました。それ以来、欠かさず、毎年4月8日は鎌倉に参向しておりますが、今年は膀胱癌の手術後の経過が悪く、とても無理でした。来年は57回忌。主宰就任の報告を兼ねて、是非お参りしたいと思っています。
さて、虚子忌にお出になった金沢の征一様から、その時のお句を頂いておりますので、ご披露します。
色みせず鳴く鶯に俳ごころ 征一
虚子の墓所の谷には百千鳥の囀が聞えますが、鶯の囀に句心を寄せられた作者。俳味を感じられたのでしょう。鶯が囀る時は、無防備なほど枝先に止まります。枝先に止まって、大きな声で鳴くのは、外敵の注意を自身に引き付け、巣に籠るメスや雛を守るため、という説があります。哀れで健気な鳥です。このあたりも、古来俳人の心を引き付けて止まない要因かもしれません。
亀の鳴く声とも虚子の声かとも 征一
私は虚子先生の声も亀の声も知りませんが、面白い句です。二つの声の取り合わせの妙。虚子先生が生きておられたら、どう仰るか。ユーモアのセンスに富んだ句です。
もう一つ、俳誌「阿蘇」4月号に掲載されているお句をご紹介しましょう。
ふと出でしポインセチアのやうな嘘 征一
ポインセチアはクリスマスや歳末の街を彩る花。神戸・元町に似合う、おしゃれな花です。この句は、どんな嘘をイメージしているのでしょう。港の酒場の女には万に一つも・・・という嘘かも。神戸じゃ「なぎさ」と名乗ったのでしょうけれども。私は、真っ赤な嘘じゃないかと。さまざまに鑑賞できる句です。征一様にはお句を頂き、有難うございました。
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