2014年4月6日日曜日

春の蚊

私にとって毎月最大の試練である下萌句会が、本日汀子邸で開催されました。参加者は24名。兼題は「菫」・「春の星」と「春の蚊」。「菫」と「春の星」とは比較的詠みやすい季題ですが、「春の蚊」には苦しみました。歳時記を見てみると、春の蚊とは冬を越したアカイエカのこと、とある。ふらふらと飛び、人を刺す力は無いらしい。生ぬるいような夜になると、書架の裏などから出てくるという。

私はこの季題で勝負してみようと取組ました。「菫」や「春の星」よりはるかに解釈が難しいからです。先ず、冬を越した蚊ですから、飲まず食わずで、腹が減ってふらふらの状態だろう。血を吸う力が無い蚊とは情けない。血を吸うから蚊であって、血を吸わなかったら只の虫。という事は哀れさが本意か。この様に考えて、次の句を詠みました。

         入院のその後は知らず春蚊鳴く     伸一路

入院したとは聞いたが、その後何も言ってこない。良いのか悪いのか、何もわからない状況に、もう少ししっかりしてほしいという思いが募るのです。春の蚊が、か細い羽音を立ててふらふらと飛んでいる頼りなさ、哀れさが、私の思いを読者に伝えてくれます。この句は、汀子・むつみ・商平各先生の選に入りました。

もう一つの春の蚊の句、

         春の蚊を思はず打つてしまひけり    伸一路

春の蚊ならば打たずおく、という句がありました。私も当初はそう詠みましたが、なんとなくわざとらしさを感じましたので、逆に打ってしまって後悔する、という構図にしてみました。ふらふら飛んでいる哀れな蚊を打ってしまった。そんなことをして何になるのか。可愛そうなことをしてしまった、という思いを「しまひけり」という言葉に託しました。この句は、汀子・浩一郎両先生の選に入りました。

今回は31句採って、汀子選と19句が一致、一致率指数は61.3でした。汀子先生の特選10句の内、巻頭句を含め6句が採れました。先生の句は5句の内4句が採れました。まずまずの成績だったと思います。先月は五葉句会と重なり欠席、来月は葺合俳句講座と重なり欠席です。唯一の勉強の機会ですが、中々うまくは行きません。辛いところです。
         

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