2025年6月19日木曜日

新しい句会の船出

 本日、九年母の明石句会と垂水句会とを統合し、新しく参加する方を加えて、朝霧句会がスタートしました。本部からは片岡副主宰、仲井編集長と岸本副編集長が特別参加され、総勢18名で句会を開催しました。

先ず私の方から新しい句会の運営に関する注意事項を説明し、続いて自己紹介をした後、初句会に入りました。兼題は十薬と万緑。席題と特選の寸評は時間の関係で本日は割愛しました。

新しい句会の出発を寿ぐ句もたくさん出され、講評にも十分な時間を取って、充実した句会になりました。全員が1句以上入選し、明石高年クラブ連合会主催の私の俳句講座を聴講されている方が巻頭を得られました。上々の船出だったと思います。この句会の目的は俳句の基礎を学ぶこと。自分の足らざるところを他の参加者の句から学びます。そうでなければ句会を開く意味がありません。そのためには清記をしっかり読むことが大切です。

季題の活かし方、助詞の使い方、表現の工夫などを他の方の句から学びます。お菓子を食べお喋りをして、という親睦のための句会ではありません。明石市やその近隣にお住いの方で俳句の基礎を学びたいと思われる方は、是非ご参加ください。俳誌「九年母」の主宰が厳しく優しく懇切丁寧に指導させていただきます。

2025年6月13日金曜日

玉ちゃんの森


 6月12日の千鳥句会は、淡路島公園の「あじさいの谷」を吟行しました。JR舞子駅に集合し、9時45分のバスでニジゲンノモリへ向かいました。大きなゴジラの首が作ってあって、その口へロープウェイで突入出来る娯楽施設がありました。その施設を抜けて紫陽花の谷へ向かっている途中で、道路の手すりに止まっていたタマムシの玉ちゃんに出合いました。

玉ちゃんは人懐っこく物おじしない性格で、私の手から腕に登り、肩からリュックにと、どんどん進んでいきました。周りの仲間が次々に手に取って眺めても飛ぼうとせず、美しい姿を惜しげもなく披露してくれます。昔、歴史で習った玉虫の厨子について語る人もありましたが、玉ちゃんは古代のままの美しい姿を見せてくれました。

この虫を箪笥に入れておくと衣装が増えるという言い伝えをお話しましたが、今更増えても入れるところもないし、という冷ややかな反応。確かになあ、と皆さん納得。皆さんが得心したところで、再び手摺に戻してやりましたが、この玉ちゃんをテーマにした句が、句会でたくさん出たことは言うまでもありません。

    玉虫にすつかり好かれ連れ歩く    伸一路

その他にもカブトムシなど、普段見ることのない生き物たちがたくさんいました。淡路の森は皆さんを待っています。

2025年5月16日金曜日

新しい句会へのお誘い

 昨日、九年母会明石支部の例会をお訪ねし、明石市に新しい句会を創設する旨のお話して、ご賛同をいただきました。現在活動中の九年母会の明石支部と垂水支部が合流して創設し、新句会の名称は「朝霧句会」。姫路句会、加古川の笹子句会に続く地域限定型の俳句会で、百年の歴史のある俳誌「九年母」の主宰が直接指導に当たる、伝統俳句系の勉強会です。会員個々人の俳句の実力の向上を目指します。

  第1回開催日 6月19日(木) 13時開会 毎月第3木曜日に開催予定。

  第1回会場  明石市立勤労福祉会館

  兼題     万緑・十薬

「アスピア」内にある「ウイズ明石」を会場にしますが、予約の関係で9月の例会までは明石勤労福祉会館を会場にします。その後も予約の都合等でこの二つを適宜使用することになります。

明石市や神戸市垂水区及びその近郊にお住いの九年母会員で主宰と一緒に俳句を学びたいと思われる方、かつて九年母会に居られた方、明石市高年クラブ連合会主催の俳句講座を聴講していただいている皆様、この機会に是非新しい勉強会にご参加くださるよう、ご案内します。

     連絡載  080-1526-6932  小杉   

当初のご案内が6月13日となっておりましたが、19日(第3木曜日)の誤りでしたので訂正します。    

2025年4月26日土曜日

研究発表会の事

 大阪俳句史研究会からご依頼いただきました、私の研究発表が、本日無事終了しました。

今回は代表理事の三村純也先生からご依頼をいただいていた「五十嵐播水 その人と作品」というテーマの研究発表でした。持ち時間は1時間30分。続いて質疑応答の30分。聴講者は30名。

持ち時間の1時間30分は、あっという間に過ぎてしまいました。その間喋り詰め。時折小話や冗談を挟み、笑い声が聞こえて来るのを確認し次に進みおます。播水の生い立ちや、少年時代の逸話。医師への道を勧める父親と外交官を志す播水の心の葛藤。虚子や野風呂・草城・誓子たちとの交流。医師としての播水のこと。最後は70年の長期にわたって九年母の主宰を続けられた要因、など多角的に分析してお話しました。ご理解頂けたかどうかは分かりませんが、「九年母」と播水に関する関心が高まったという手応えは感じました。

最期に純也先生が「ホトトギスでも播水を見直す必要を感じる」と述べられたことが印象的でした。会報に載せるため原稿用紙30~50枚程度の文章にして提出するように依頼がありましたので、まだまだ仕事が続きますが、今日の所はひとまず成功裡に終わったと喜んでいます。

地元の伊丹や西宮、灘区・東灘区から沢山の九年母会員の方が聴講に来て下さいました。厚く御礼申し上げます。

2025年4月22日火曜日

千鳥句会のこと

千鳥句会という吟行専門の句会が有ります。JR六甲道駅に隣接したメイン六甲というビルに六甲道勤労市民センターというカルチャーセンターがありました。現在は運営母体が変わり灘区文化センターという名前になっていますが、いずれも神戸市の外郭団体により運営されています。

平成17年4月に六甲道勤労市民センターの俳句入門講座の受講生のための、吟行専門の勉強会として、千鳥句会を開設しました。一方、野鳥句会はこの講座の受講生が季題に基づいて実践的な勉強をするための句会として開設しました。当初は、つぐみ句会とひよこ句会、こばと句会という三つの勉強会だったのですが、私の「九年母」主宰就任に伴って合併し、野鳥句会として再出発したものです。

中でも千鳥句会は、関西だけではなく、東京、鎌倉、田辺、松山、出水など全国各地に吟行に出掛け、俳句の研鑽に励むとともに、会員の親睦を図って来ました。やがてこの会員の皆さんが、私の「九年母」主宰就任に伴って編集部や同人会など会の中枢部の仕事を担当していただくことになったのです。

千鳥句会の吟行は独特で、集合から解散まで団体行動をします。九年母の従来の吟行は個人やグループが適当な時間に出掛け、好きなところを回って吟行していました。ところが千鳥句会は、全員が同じ時刻に集まって、主宰と共に行動します。同じものを見、同じ音を聞き、同じ感動を共有するのです。そうすることによって、吟行の仕方が学べます。自分が詠めなかった感動を、同行の人の句から学びます。この方法が20年続いているのです。

千鳥句会はカルチャーセンターの俳句講座の勉強会として発足したのですから、九年母会員でなくても、誰でも参加で来ます。他の結社の方も居られます。飛び入り参加も大歓迎です。一緒に吟行し、一緒に学びましょう。

2025年3月18日火曜日

松苗神事献詠俳句祭の結果(速報)

 本日午前10時より、大阪の住吉大社吉祥殿にて、毎年恒例となっている松苗神事献詠俳句の最終選考会がありました。選考会の選者は俳誌「かつらぎ」の森田純一郎主宰、俳誌「未央」の古賀しぐれ主宰と私。かつては5名で務めていましたが、現在は3名になっています。

今回の応募句の総数は505句、その中から3名の選者による予選を経て最終選考に残った句は17句。最終選考に残る確率は3.4%と厳しき門でした。各選者が、自分が選んだ20句に5点から1点の点数をつけ、5点句を2句、4点句を3句、3点句~1点句を各5句それぞれ選びます。最後に3名が選んだ句を各句ごとに点数を合計し、上位の句から並べて順番に審査をして行きます。今回は最上位2句が共に10点でした。この句は類想句が有るとか、この句は季が動くとか、厳しい意見が飛び交いました。

最終選考に残った17句の内7句が九年母会員の句でした。事務局の神職さんから「この人も九年母?」という声がしばしば上がっていました。各結社の入賞・入選者数はそれぞれ2~3名でしたが、九年母は6名でした。その結果は以下の通りです。

   地賞 歌人の心を今に苗木植う     岸本悦子

   入選 苗木植う地震にも耐ゆる水の星  島崎すずらん

   同  苗木植ゑ千年さきの星語る    小柴智子

   同  復興へ弛まぬ歩み苗木植う    長谷元子

   同  停戦の足音しかと苗木植う    末永拓男

   同  歴史秘む社の大樹風光る     藤澤みか子

表彰式は4月3日、第一本宮での報告祭の後、吉祥殿で執り行われます。入賞・入選の皆様にお祝いを申し上げます。次は秋の観月祭です。頑張りましょう。

2025年2月16日日曜日

スカンク

 米国にはskunkという言葉があり、スカンクと読む。広辞苑を引いてみると①には動物のスカンクが載っている。敵に襲われた時に、猛烈な悪臭を発して敵から逃れる、あの動物だ。そして②に「競技で、無得点で敗れること。零敗。ゼロゲーム。スコンク」とある。

今回の話題はこの②の事。句会に出て、互選にも選者選にも一点も入らない時がある。今年の「九年母全国新年俳句大会」では、私の出した3句は見事にスカンク。誰も採ってくれないので、淋しい思いがした。その昔、摩耶山俳句大会で、代表選者の汀子先生の句がこのスカンクに襲われた。好評の最後に先生が「今日は口淋しい一日でした」と言われ、会場中が大爆笑した思い出がある。なるほどそう言えば良いのかと、妙に感心した。

誰だってスカンクは嫌だ。そんな時に心が折れないようにするためは、その日の自分の選を振り返ればよい。今日の自分の選はどうだったか、選者の特選の句は採れたか、普通選の句はどうだったか、日頃から尊敬している先輩の句は採れたか、と。選者の特選の句が3句採れた。先輩の句が2句採れた。これは嬉しいことだ。今日駄目だったのは、夕べの夢見が良くなかったのだ。朝からお腹が痛かったのも原因かも。だけど今日は良い選が出来た。こう思えば何ということもない。よし、次からはもっと良い選をしようと思って頂ければ最高である、

自分の作品の成績にばかり汲々としていると、底のない井戸に落ちてしまう。作句力と選句力とは車の両輪。どちらが欠けても車はまっすぐには走れない。自分の選の力も、意識して磨いて行ってほしい。