2015年2月25日水曜日

汀子句碑

金沢の征一様から、永田青嵐顕彰全国俳句大会の翌日、淡路の洲本城跡に建立されました汀子先生の句碑の写真を頂きましたので掲載します。句碑も立派ですが、お句も良いですね。城跡に舞い、海光へと流れてゆく風花。句碑は、東に大きく開けた大浜海岸に向って建っています。
写真の上でクリックして下さい。拡大して見られます。

2015年2月23日月曜日

淡路の旅

昨日は永田青嵐顕彰全国俳句大会の表彰式と講演会に参加してきました。神戸三ノ宮午前9時20分発の高速バスに乗り込んだのは8名。明石海峡大橋を越え、一路洲本高速バスターミナルを目指しました。走ること約1時間30分で到着、大会会場の洲本市文化体育館の場所を確認して、洲本城跡へ向かいました。明治初期に当地で勃発した事件の案内板を読んだり、お濠の枯蓮(大賀蓮との事)を見つつ吟行。城跡にはいくつか句碑が立っていました。達筆すぎて読めないものも有りましたが、俳句の島淡路らしい雰囲気が漂って居ました。

汀子先生の句碑の除幕式があると聞いていましたので、城跡公園の事務所で場所を尋ねてみますと、お濠の外の、青嵐先生の句碑の隣に出来ている、とのこと。行ってみますと、巨大な青嵐句碑の隣に、それより少し小ぶりの句碑が、シートに覆われて立っていました。すぐ脇に、まだ小さな紅梅が、沢山花を付けていました。いかにも女性の句碑らしく感じられましが、残念ながらどんなお句かは分かりませんでした。

さて、私たちの仲間の活躍ぶりをご紹介しましょう。

       永田青嵐大賞   大橋の灯の消えてより月の海    美恵子  (阪神句会)
   
   正井良徳入選   眩しさや朝の海へと稲を掛け     有記   (淡路)

      〃        国生みの島を袈裟掛け夏つばめ   征一   (金沢)

   中谷のぶ入選   父母眠る島への橋の西日燃ゆ    和代   (ひよこ句会)

      〃        老ゆほどにひととせ迅し秋深む    信子   (淡路)

   三根香南入選   百姓の胸から胸へ菊出荷       有記   (淡路)

      〃       斉唱の少女等のごと百合咲けり    あきら  (五葉句会)

表彰式に次いで、安原葉先生の「花鳥諷詠のこころ」と題する講演を拝聴しましたが、大変分かりやすいお話しで、花鳥諷詠を考える上で大いに参考になりました。地元の九年母の皆さんとの交流を考えていましたが、時間がうまく合わず、残念でした。

私が南淡路市長賞を頂いた第2回の大会では、副賞に福良の素麺を5キロ頂きました。当時は、それぞれの自治体の地元の特産品を頂いたのですが、最近では一律に金一封。玉葱のドレッシング20本など、淡路の特産品をワイルドに頂いた方が楽しみが有ります。都会風になってしまうのは残念。御一考を願いたいものです。
  

2015年2月20日金曜日

猫の恋

猫の恋という季題が有ります。春2月の題で、ホトトギス新歳時記には「早春、猫がさかるのをいう」と有ります。未だ寒い春の宵に、それは始まります。オスもメスも、狂ったような鳴き声で、恋の相手を求めるのです。1匹のメスを巡って数匹のオスが争い、時には怪我を負う事も有ります。日頃おとなしい猫が、猫変ならぬ豹変した姿。まだまだ子猫だと思っていたのが、急に野性を丸出しにして、夜の闇に消えてゆく。猫愛好家にとっては、ある意味では感動でしょうが、愛犬家にとっては単に鬱陶しいだけの事。狂ったように鳴く猫を、犬は冷静に、しかも馬鹿にしたような目で見ているらしい、とは愛犬家の言。鳥交るという季題は有りますが、犬交る、とか犬の恋という題は有りませんね。

いつごろから猫の恋という季題が使われ出したのでしょう。平安時代の和歌全盛の時期には、こんな卑俗な言葉は歌人の興味を引かなかったのでしょう、猫の恋を詠んだ和歌は見たことが有りません。ところが、俳句の前身の俳諧の時代になると、盛んに詠まれ出します。この季題の持つ滑稽さ、ユーモラスさが、俳諧の性格と一致したのでしょう。

     麦飯にやつるる恋か猫の妻         芭蕉

     巡礼の宿とる軒や猫の恋           蕪村

     なのはなにまぶれて来たり猫の恋     一茶 

先日の講座でこんな句が出されました。

     たまといふ猫の駅長恋知らず

和歌山電鉄貴志駅の有名なタマ駅長を詠んだ句です。現代の社会事象を巧みに捉えて、ユーモラスに描いています。タマは定年の無い終身駅長で、年俸はキャットフード1年分だそうです。このあたりもユーモアが有って俳句になりそうですね。

この季題は、恋猫の姿をリアルに描写するよりも、ユーモラスに描く方が成功するようです。春宵の恋猫の声は、仏道修行の妨げになるかな、と思って詠んでみました。

      恋猫を叱る声して庫裡の夜       伸一路

2015年2月11日水曜日

季題の研究(早春)

「早春」という季題は、「春浅し」とどう違うのでしょう。この他にも「春寒(はるさむ)」、「余寒(よかん)」という、よく似た季題が有ります。季題が違うという事は、本意が違うという事です。今回は「早春」と「春浅し」とについて考えてみましょう。

     早春の庭をめぐりて門を出でず      虚子

     浅き春空のみどりもやゝ薄く        虚子

有名な句ですが、この二つの句の季題の使い方にヒントがあります。虚子先生には申し訳ない事ですが、季題を入れ替えてみたらどうなるでしょう。

     浅春の庭をめぐりて門を出でず (入替句)

     早春の空のみどりもやゝ薄く (入替句)

原句との違いを考えてみましょう。

     早春の庭をめぐりて門を出でず (原句)

     浅春の庭をめぐりて門を出でず (入替句)

原句の方は、春が来て、庭に出られるようになった喜びのような思いを感じますが、入替句の方は、春になったにも関わらず寒いので門を出ない、という不満のような思いを感じます。

      浅き春空のみどりもやゝ薄く (原句)

      早春の空のみどりもやゝ薄く (入替句)

春になったのに空のみどりがやや薄い、と春に対する不満のような思いを感じますが、入替句の方は早春の空の情景を、そのまま描こうという思いを感じます。

つまり「早春」は、春が来たという喜びをそのまま表現する季題であるのに対し、「春浅し」は春が来たのにまだ寒く、春の景色が整わないという、不満足の思いを表現する季題なのです。

      早春の森や散歩の歩の軽く     伸一路

今月の下萌句会で汀子先生に採って頂いた句です。早春だから歩が軽いのです。浅春の森の散歩では、歩は軽くはなりません。寒い寒いと思いながら歩くからです。

      浅春の森や散歩の歩の重く

2015年2月8日日曜日

嬉しい事④

嬉しい事を募集しましたら、次々に連絡が入って来ました。到着順に紹介して行きます。

第36回こうべ市民文芸 俳句部門2席入賞

    夕映えの染め上げてゆく干し大根    和子    つぐみ句会所属

 同  佳作 

    父母の知らぬ子も来て墓洗ふ       明子     千鳥句会

    手に受けし今捥ぎ立てといふトマト    茂子     五葉句会

    寒明や蛇口に水の来る気配        久子      々

    喝采は山鉾回り初めしとき         信子      々

    山墓は後継も無く彼岸花          悦子     葺合教室

第6回永田青嵐顕彰全国俳句大会入選

    父母眠る島への橋の西日燃ゆ      和代     ひよこ句会 

第1回のじぎく俳句祭 神戸新聞社賞

    野菊晴少女の手話のしなやかに     敬子      五葉句会

この他、今宮戎神社献詠俳句祭でどえりゃあ事をしでかしちまった人が2人あるそうです。
虚子生誕記念俳句祭でも何かやらかした人があるそうです。いずれもまだ言っちゃいけない段階だそうで、楽しみです。中でも、雅一さんは両手に何か抱えてニコニコしておられるらしいが、ブログ子には守秘義務が課されていますので、まだ言えません。

それにしても、皆さんのご活躍はすばらしい。まだまだ嬉しい事は沢山あると思います。公表しても良くなればお知らせ下さい。明日は朝から、主宰との打ち合わせ会。段々新体制の詳細が決まって来ます。忙しくなって来ました。

2015年2月5日木曜日

嬉しい事③

早いもので、2月も早や5日。2月はこれといった特徴の無い月で、しかも28日しか有りません。1月は正月、3月は決算や卒業の月、4月は入学や入社、転勤の月。それぞれ会社や人生の何らかの節目であるのに対して、2月は精々、学校で中間試験があるくらいでしょうか。昔から2月と8月はニッパチといって、商売にならない月とされて来ました。

しかし、私にとって、今年の2月は超多忙な月。主宰継承を目前にして、お願いしなければならないことが山積しています。今日も、本部例会の後の連絡会で、九年母会の執行部の皆さんにお集まり頂いて、新体制に移行する手順の説明に追われました。着実に前進していますのでご安心下さい。明日は、後任の編集長と一緒に、出版社へ新任の挨拶に行って来ます。

ところで、嬉しい報せが相次いで到着しています。先日のブログ「嬉しい事①」でご紹介しました、淡路の有記さんの句が2句、毎年淡路で開催されている永田青嵐顕彰全国俳句大会で入選した由、淡路島の駐在員事務所から連絡が有りました。

    眩しさや朝の海へと稲を掛け     有記

    百姓の胸から胸へ菊出荷       同

 
1句目 眩しさや、という意表を衝いた詠い出しが先ず素晴らしい。元気で朝早くから働ける喜びに溢れています。加えて、海へと稲を掛ける、という着想が詩情豊で、まさに花鳥諷詠詩です。

2句目、百姓の、とありますから菊花展ではなく、切り花用の菊でしょうか。丹精込めて育てた菊の束を、胸から胸へ渡し、軽トラックに乗せて出荷するのでしょう。しっかりした写生の上に、菊に対するお百姓の愛情をさりげなく乗せた句。平明にして余情のある句で、さすがに全国大会で入選する作品だと思います。

淡路の俳壇も賑やかになって来ました。これからが楽しみです。先輩のお姉さま方、ご油断めさるな!

その他、赤穂のお姉さまが、今宮戎神社の献詠俳句大会で、どえりゃあ事をしでかしたとか。ある方からは、神戸新聞の俳壇に入選とのご連絡も届きました。詳しい事が分かり次第、このシリーズで報告します。

今日の本部例会で「日脚伸ぶ」という題が出ましたので、次の句を出してみました。

    表情の増え来し嬰児日脚伸ぶ      伸一路

日々成長し、変化し、発達する嬰児を、日脚伸ぶという季題に託してみたのです。4点入りました。私としては、季題の働きが出ていると思っています。季題の働きが分からない方には、何のこっちゃ?かも知れませんが。

2015年2月2日月曜日

嬉しい事②

先月も嬉しい事が有りましたが、2月に入っていきなり嬉しい事が有りました。今日の朝日俳壇で3人の仲間が入選された事です。

野鳥句会の関係では、

      金子兜太選     寒月やあの日あの刻あの地震    雅一

      大串  章選        冬帝の気の緩みたる一日かな     純子

どの句も肩の力の抜けた良い句です。それぞれの先生方に選んで頂けて何よりです。
   
野鳥の方では有りませんが、私の友人の句。

      稲畑汀子選     皓皓と寒満月の孤高かな       天

漢字を多用して、寒満月の厳しさを描いた句。カ行の音を連続させた手法は見事です。

この他、神戸市が隔年に募集する「こうべ市民文芸」の俳句部門で、つぐみ句会の和子さんが2席を受賞された由。これも嬉しい事。私は平成11年度に、後藤比奈夫先生の3席に採って頂いたことが有りました。

昨日の汀子先生宅での下萌句会で、汀子先生の選と私の選との一致率指数が84となったことも嬉しい事でした。84%の確率で汀子先生と同じ句が採れた訳です。私にとってこの句会での一致率指数が、選をする際の自信の根源となっています。我儘な、一人合点の選にならないように心掛けています。

もっと他にも嬉しい事が沢山有ったのではないでしょうか。アルプスの少女ハイジがしていたように、その日一日の良かったことを探す事も楽しい事。悲しい事は考えず、前向きに、楽しい事を考えて生きて行きましょう。嬉しい事が有ればお知らせ下さい。